【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日の「スマナサーラ長老は悪いニュースを見ても怒ったりしないのですか?」という質問に長老が答えます。
[Q]
毎日、許せないような嫌なことがあるのですが、そういうニュースなどを見たり聞いたりしても、スマナサーラ長老は怒ったりしないのでしょうか? 悪いニュースを見て怒ることも人にはあると考えるのですが、どうでしょうか?
[A]
■悪いニュースはこう観察する
私は悪いニュースを見ても怒りません。その代わりに「なぜ人々はこんなことをするのだろう? 良いことができたはずなのに。世の中はいつでもこんなものだ。無知によって社会に迷惑をかけて自分自身を破壊しているのだ」と理解します。私も自国(スリランカ)のニュースや情報を毎日見ますが、悪いニュースしかありません。ある日ニュースキャスターがこう言ったのです。「朝からいつも暗いニュースばかりで申し訳ありません。明るいニュースを伝えたいのですが、今日も明るいニュースはひとつもありません」と。
人間というのは、やはり皆我がままで自分の利益しか考えていない、慈しみに欠けた存在なのです。ですから、問題や事件などがひっきりなしに起こるのです。ニュースや事件というのは、殆どネガティブで暗いものばかりですね。そんなものを見てどこまで怒り続ければいいのでしょうか? 世界の人口はどれぐらいいますか? 皆無知ですから一人ひとりがやっていることはたいてい悪いことなのです。
ですから、どんな悪いニュースを見たり聞いたりしても、大きな心で「これは無知のせいである」と理解した方がいいのです。「世の中は無知で狂っている。気をつけなくてはいけないのだ。こういう過ちを自分は絶対にしてはいけないのだ」と、そこから勉強して学ぶのです。そのように対処するしかありません。
■ニュースを見るのは自分の勉強のため
日本のニュースを見ても、信じられない事件がいっぱい起こっています。そういうのを見て、たまに説法のテーマとして出したり、例として出したりもします。問題は、皆に智慧が無く、感情で生きていることなのです。それを解決するためにはブッダの教えを学ぶしかありません。だからといって誰も仏教に興味も無いでしょう。ですから、私たち一人ひとりが「こういうことはやってはいけない」と勉強しましょう。ニュースを見ることも自分の勉強のために見るのです。
たまに良いニュースもありますね。誰かが驚くような善行為をしたということも稀にニュースになります。そんな時は「こんな素晴らしい人間もいるのか」と感動してもいいのです。良いニュースに対しては随喜して、悪いニュースに対しては自分を戒める。それしか方法は無いと思います。
■出典 『それならブッダにきいてみよう:こころ編2』