アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「四門出遊のエピソードは本当?」です。

[Q]

    お釈迦様が王子の時代に都の東南西北の四つの城門から郊外に出たことが出家の契機になったという「四門出遊」のエピソードは本当ですか。

[A]

    お釈迦様が、老人を見て、病人を見て、死体を見て、出家の姿を見て、出家を決意したという流れは、仏教共通の伝説です。しかし「四門出遊」は、経典にはありません。「老人を見て驚きました」とは、お釈迦様は説かれていません。現代的な思考で考えてみても、お釈迦様が老人を見たことがなかったわけはないでしょうし、宮殿の中にも、いろいろな年代の方はいらっしゃったでしょう。
    お釈迦様がおっしゃったのは、「老いることを考えて、たいへんな気持ちに陥った」ということです。「人は死ぬ。それは運命のように避けられないのだ。人は病気になる。これは避けられないのだ。このことにたいへん衝撃を受けました」とおっしゃっているのです。おそらく、老いる現象、病に陥る現象、死に至る現象についてショックを受け、それをきっかけに、生きる道を考え始められたということだと思います。



■出典    『ブッダの質問箱』