ティック・タム・チー(大恩寺住職)
藤元明緒(映画作家)
日本で生きるベトナム人たちのセーフティーネットとなっているベトナム仏教寺院「大恩寺」住職である尼僧のティック・タム・チー師と、ベトナムから来日した技能実習生の置かれた現実を描き話題となった映画『海辺の彼女たち』監督の藤元明緒氏に対談をいただきました。日本に暮らす外国人技能実習生が置かれた現実を詳しく知るお二人は、日本に生きる彼らの実情と仏教の役割、そして私たちが大切にすべきものをどのようにとらえているのでしょうか。第3回。
第3回 タム・チーさんのここまでの道
ティック・タム・チー師
●ベトナムから日本へ
ティック・タム・チー 私はベトナム戦争の解放の2年後になる1978年、9人兄弟の末っ子として生まれました。父は解放後、家から離れて戦場だった南部の現場で働いていましたが、連絡が取れなくなってしまいました。それで、母が1人で9人兄弟を育てました。