アルボムッレ・スマナサーラ
【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「妻と死別して心の穴が埋まらない」という相談にスマナサーラ長老が答えます。
[Q]
二年前に妻を亡くしました。心に大きな穴が開いたようで、いまだに生活が安定しません。周囲には「全く問題無い」と気丈に振る舞ってしまい、何とか心の穴を埋めようとするのですが全く埋まりません。どう考えたら良いのかもわからなくなっています。
[A]
■新しいプログラムで穴を防ぐこと
あなたは自分の世界を作ってください。本を読んだり勉強したり、いろんな研究をしたり、普段のくだらない男の世界に戻ってください。いろいろ興味があってやりたいことがあるでしょう。奥様がいたら褒めてくれると思ってしまうでしょうが、実際は褒めてなんかくれませんよ。「なんで馬鹿なことをやっているの」と呆れられるだけ。
自分が面白いと思う事をやって、残りの人生を作ってゆくしか他に道は無いでしょう。生きている間は明るく生きると決めるのです。亡くなった者や、終わった事に泣いても、足を引っ張られても、何の意味も無いのです。「過去に悩むな」というブッダの言葉その通りです。
人が亡くなると誰のこころにも穴が開きますが、別に不思議なことではありません。ただ、穴が開いたらすぐ塞がなくてはいけないのです。私も師匠の訃報が入った時、ガクンとこころに大きな穴が開いたのです。自分の人生設計はずっと師匠がいるという前提で作っていたのですから……。自分がやること、アホなこと馬鹿なこと立派なこと全てを報告する相手がいなくなってしまったのです。自分を叱ってくれる人がいなくなってしまった。「この人は自分を叱る権利を持っているのだ」ということで、自らを律していたのです。おかげで遠い日本にいても自分を戒めて生活できました。亡くなったと聞いた途端、突然に穴が開いて、二、三分ほど身体が動かなくなってしまいましたが、「これからは全て責任を背負わなければいけないのだ、じっとしている場合ではない」と終わらせました。そんなものです。人生のプログラム全部崩れたのだから、直ちに新しいプログラムを作らなくてはいけないのです。私はそうしました。
皆さんもそうしなくてはいけません。あなたの人生プログラムは、奥様がいるという前提でできあがったものでしょう。その人がいなくなってしまうと、既存のプログラムはもう使えないのでデリートして、バージョンアップされた新しいプログラム、つまり奥さんのいない新しい人生のプログラムを作って、インストールし直して生きてみてください。
■出典 『それならブッダにきいてみよう: こころ編5』
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