アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「天国と梵天界は同じですか?」という質問にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

    天国と梵天界は同じですか?

[A]

    けっして同じではありません。天界へ生まれ変わることは、新幹線で東京から大阪に行くような簡単なことです。梵天界はそうではありません。宇宙旅行するようなものです。かなりの資格が必要です。梵天に生まれ変わるためには瞑想しなくてはいけないのです。サマーディ瞑想でけっこうです。しかし、瞑想しただけではたりません。サマーディ(禅定)状態に達しなくてはいけないのです。サマーディ状態に達した人の心に欲と怒りの邪魔がなくなります。その煩悩が睡眠状態になって隠れるのです。それから心は混乱すること、興奮することもなくなり、常に統一している状態で保たれます。サマーディ状態に達して、その境地を最期まで守ることができたならば死後、梵天に生まれるのです。
    梵天とは五欲で遊びにふけっている境地ではありません。欲から離れて、精神が統一され、心の安穏を感じる境地なのです。瞑想に成功する人々が生まれ変われる境地なのです。そこでの寿命は気が狂うほど長く、一番低い次元の梵天であっても寿命はおそらく一劫です。劫とは宇宙が現れて消える時間だと思います。上の次元の梵天になると寿命は一万四千劫だと言われています。
    生命を三つの次元に分けて説明してあります。三界です。欲界、色界、無色界です。
色界とは身体をもって五感で認識する生命の次元。地獄、餓鬼道、畜生、人間、天界が欲界に入ります。サマーディ瞑想をして禅定に達する人々は梵天に生まれます。その梵天の神々に身体があるならば色界梵天です。禅定に達した人がさらに瞑想して身体と心の関係をカットして、身体に頼ることなく心を成長させ、さらに上の禅定に達します。「身体は関係ない」という意味で無色界といいます。無色界の禅定に達することができた人々は死後、無色界の梵天に生まれます。専門的な話になるのでここでやめておきましょう。梵天とは、瞑想修行を成功した人々が死後生まれる次元だと理解しておきましょう。




■出典    『ブッダの質問箱』