【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。
今日のテーマは「集中について」です。
[Q]
[A]
新しいモットーで生きる
新しいモットーを作らないといけませんね。人間というのは、いつでも楽しく生きていた方がいいでしょう。イライラしたり、心配でたまらない状態で生きるよりは、リラックスした状態で楽しいと感じながら生きていた方が良いのです。
ですから、楽しさや充実感を感じるのはどんな時かと聞かれたら、それはいつでもいいのです。朝起きて楽しい、仕事に出かけることが楽しい、仕事も楽しい、家に帰ることも楽しい、帰ってからも楽しい、寝ることも楽しい……そういうふうに、二十四時間自分がやることは何であっても充実して、上手くいっていると、リラックスして生きてみてください。
仕事は大変だ、休みの時は遊ばなくてはいけない……と思う生き方は失敗です。仕事は仕事で楽しい、休みの日は遊ぶことが、それはそれで楽しい。その都度その都度、楽しむ。仕事は苦しくて遊ぶのが楽しいという人は、一生楽しく生活するために一生遊んで暮らさなくてはいけなくなるのです。それは成り立たないでしょう。あるいは、休みの日は退屈でつまらなくて仕事中は楽しいというと、その人が一生明るく生きるためには、二十四時間死ぬまで仕事をしなくてはいけないでしょう。それは世の中では成り立たないことなのです。ですから、「その都度その都度、楽しむのだ」と考えなくてはいけません。
今の時間から飛んではいけない
あなたの問題は、今の時間から別な時間に飛ぶことなのですね。時間を過去や将来に飛ばすことは大きな間違いであって、失敗なのです。時間というのは一本しかありません。本当は飛ばすことはできないのです。今現在から将来や過去のことに飛ぶことは不可能です。本人はやっているつもりですが、ただ今の時間を無駄にしているだけです。今の時間にやるべきことをして充実感を得ないで、ふざけて無駄にしているだけなのです。
ということで、仕事中も時間を無駄にしていて、休みの時も時間を無駄にしているのです。どうやって時間が無駄になったのかというと、時間を過去や将来に飛ばして考えたということなのです。それはあり得ないことです。
子供たちに学んでみる
ですから、時間を過去や将来に飛ばすなどということはしないで、「今どうすれば楽しみを得られるのか」とチェックすればいいのです。その方法を子供たちは知っていますよ。子供たちはどんな場所に行っても、どうすればここで楽しめるのかと遊びを見つけます。子供たちには決まった遊びのプログラムは無いのです。どうしてもじっとしていられない、どこに行っても何かしらやってしまうという、それが子供の生き方なのです。何か遊ぶ方法を見つけるのです。誰かをからかってでも、誰かに迷惑をかけてでも、その都度遊ぶ方法を見つけます。
そこからひとつ生き方を学べます。もちろん、子供の生き方をそのまま大人が真似するわけにはいきません。遊んで時間を使うのは子供の世界ならそれでいいのですが、大人の世界では成り立ちませんからね。しかし、やり方は正しいです。ですから成長は子供の方が早いのですね。勉強する時でも子供の方がものすごく吸収が早い。大人になったら成長しにくいです。元気さも子供の方が圧倒的にパワフルです。休む時でも、子供の方がさっと休みます。存在としての生き方がまだ汚れたり壊れたりしていないのですね。私たちもそのような生き方を学んだ方がいいのではないかと思います。
ですから、私たち大人はふざけている場合では無いのです。いろんな責任があるのですから、責任を持って生きていかなくてはいけません。なので、私たち大人は仕事を遊びにするのです。それで楽しくなってきます。大人ですから真面目に生きることを楽しくするのです。時間を過去や将来に飛ばしてしまうと、それができなくなってしまいます。
楽しみが生まれる秘訣
「やるべきことは、今やる」ということで楽しみが生まれます。それが集中力です。ですから、休みの日に仕事の事を考えて時間を飛ばしてしまう。仕事の電話が来るかもしれないと危惧するのは下らない話です。電話がかかって来たら来たで、かかって来なかったら来なかったで、それはどうでもいいのです。
家族とバーべキューをしているとしたら、いかに楽しくバーベキューをするのかということだけにしてください。肉や野菜がちょうどいい感じに焼けるように、材料を入れる順番を考えたり、みんなに料理を配る時でも、きちんと均等に配れるようにと考えたりしてしっかりやるのです。肉だけ食べたがる子供たちに、先に野菜だけを焼いて「まずこれを食べなさい」と言って、後で肉を焼いたりして、その場その場で計画を立てながら上手く実行するのです。
そこで、上手くいったという事から、充実感と楽しみが生まれて来ます。ですから「二十四時間楽しく生きるぞ」と決めてください。
出典 『それならブッダにきいてみよう: ライフハック編』