プラユキ・ナラテボー(タイ スカトー寺副住職)

第2回    「心」と「法則性」に関する組の実践


タイ東北部のスカトー寺副住職で、ヴィパッサナー瞑想法のひとつ「チャルーン・サティ(手動瞑想)」の指導者として著名なプラユキ・ナラテボー師による、アーナーパーナ・サティ瞑想(呼吸瞑想)の解説をお送りします。パーリ経典『出入息念経(Ānāpānasati-Sutta)』(中部経典118)に基づく、ブッダが教えられた瞑想法のすべての行程を、実践上の注意点を交え詳述いただきました。


■第三の四洞察(心に関する組)


9.「心を感じながら息を吸おう、心を感じながら息を吐こう」と訓練する。

    この段階では、呼吸をペースメーカーにしながら心を観察していきます。とりわけ心は、貪・瞋・痴の三種類の根本煩悩によりさまざまな色に染まり、それによってありとあらゆる苦しみが引き起こされてきますので、特にそこに焦点を当てていきます。
    基本的には、心に欲望が生じているか、生じていないか。心に怒りが生じているか、生じていないか。心に迷いや混乱が生じているか、生じていないか。その他、心が萎縮しているか、萎縮していないか。散漫になっているか、散漫になっていないか、などを確認していきます。
    その際、特に注意しなければならないのは、欲望や怒りや混乱が心に生じてきても、それを抑圧したり、戦ったりしないことです。怒りに対して怒ってみたり、混乱に混乱してしまう必要はありません。「怒りが生じている」「混乱が生じている」とあるがままに気づいていきましょう。その際、そこにある情動エネルギーを自覚しながら、胸や肩、あごなどの身体部位において、身体感覚をじっくり味わってみるのもいいでしょう。ただただ心に寄り添って、見守り続けていくのです。