【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「執着のセルフチェック」です。
[Q]
人や物に対して、執着があるか無いかをセルフチェックする為にはどのようにすればいいのでしょうか?
[A]
■「悩みの種」をチェックしよう
執着の対象になる、人・もののことは、簡単に思い出せます。そしてその時、欲や怒りなどの感情が沸きます。これでその人やものに対して執着が生じていることが明確になります。
簡単に発見しやすい執着は「欲」と「怒り」の2つです。その人や物によろしくない変化が起こると、自分が嫌な気分になる場合、また良いことが起きたところで自分も嬉しくなる場合は、欲の執着です。
その人や物に、よろしくない変化が起きて自分が良かったと思うならば、自分はその対象に対して怒りの執着を抱いているのです。怒りも執着ですよ。
慈しみの感情が起こる場合も欲に似たような気持ちが起こりますが、区別はできるだろうと思います。慈しみは自然に起こる現象ではなく、あえて育てなくてはならないのです。その過程で自分の感情は変化してゆくことも経験できます。
欲と慈しみの気持ちは似ているように感じます。怒りの執着と悲(憐れみ)の感情も似ているように感じます。一つは善で一つは悪です。「執着」という用語で理解する場合は、善であろうが苦であろうが感情は執着だと見なすのです。執着は悩みの種です。例えば、善の感情である慈しみが起きた時、冷静に相手にできることをやってあげたい気持ちになります。これも悩みの種です。
結局、執着は「悩みの種」なのです。それで、チェックできると思います。
■出典 『それならブッダにきいてみよう:こころ編1』