アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「人間関係に瞑想を活かすには」です。

[Q]

    人間関係にストレスを感じています。人づきあいの中でヴィパッサナーを実践していますが、なかなかうまくいきません。人と話をしている時は「音、音、音」と実況中継しているのですが、自分が話をする時はどうやって念じればいいのかわかりません。

[A]

■瞑想よりも人間関係を築くやりかたを理解しましょう


    基本的なことを理解していないようです。瞑想する時に実況中継するのであって、日常生活ですべきなのは「生きる」ことです。他人の話に「音、音、音」というのは失礼な話です。ちゃんと相手の話を聞くことです。心を汚すような話題の時は、緊急避難的に「音、音、音」としてもいいですが、それ以外はちゃんと相手と人間関係を築いて生活しないといけないでしょう。
    では、どのように聞くべきでしょうか?    生命は一人ひとり別々です。「この人はこのような考えを持っている」「あの人はあのような考えを持っている」という風に聞くのです。一つの器にビー玉をたくさん入れておくと、仲良く一緒の場所にいるけれど、それぞれの主権を侵害しないのです。一緒の場所にいても、一つのビー玉は他のビー玉の存在を消そうとはしません。でも、コーヒーの中にお茶を混ぜるとお互いの存在を消そうとしてとんでもないことになります。醤油も入れたら飲み物でさえなくなってしまう。お互いの存在を殺すのです。結果は最悪です。お互いを別の存在だと認識していないと、私たちは他者を自分の考えで汚染して殺してしまう。また他の人の話を聞いて、自分のこころを殺してしまう。残るものは最悪です。三人くらいで対話するとすごく気持ち悪いことになってしまいます。それぞれ相手の主権を殺しているわけです。それが人間関係でしょうか。人間関係を壊しているだけでしょう。
    他人の話を「音、音、音」と聞くのは失礼です。この人はこういう思考を持っている、あの人はこういう思考を持っている、自分はこういう思考を持っている、それで終わり。そのようにヴィパッサナー(観察)の智慧を使うのです。どうでもいいことをストレス発散でしゃべりまくる人には、慈しみをもってつきあって「音、音、音」と聞いてあげればよろしい。それは善行為になります。


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