アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「夢の中での怒り」です。

[Q]

    日頃、怒らないように気をつけて生きています。今、怒ったと気づいたり、怒り始めていることがわかったりしてきました。段々と怒りに気づくことが上手くなっているのではないかと思っていた矢先、怒りをおさめる場面があった直後に、夢で自分がいつも以上に怒っているという出来事がありました。目覚めた時に愕然としました。本当は自分は夢の中でも怒りたかったのかと思いました。しかし、夢の中で怒ってしまったことも気にしない、執着しない方がいいでしょうか?


[A]

■ストレスを発散したがる脳のカラクリ

    はい、そのようなアプローチで結構です。そのような出来事が起きたとしても、例え夢の中で怒ってしまったとしても、その出来事に執着しないのです。仏教的に、なぜそうなったのか因果法則に沿って説明することはできますが、そんな説明はしなくてもいいでしょう。ただ現象は因果法則で起きるというぐらいの理解で大丈夫です。
    では実際に何が起きたのかというと、あなたは日常生活で怒りの制御に頑張ったのです。そこで少しストレスが溜まってしまった。本音のところは怒りたかったのですね。それが素直な反応です。あなたはその素直な反応を抑えた。そのストレスを脳が夢の中で発散したのです。ですから、もし夢の中で怒る状況になったとしても、そこで怒りに気づく・制御しようとなれば問題は解決します。夢の中でも怒らないように頑張って修行しているようになれれば、あなたの心・脳がすごく成長したことになります。
    脳という臓器の仕事は、ストレス信号を繰り返し発散・解決させたいのです。ですから、実際には怒らなかったのですが、脳の中だけでも解決させようと怒る反応をしたのです。夢の中でも怒らないようにすることは、話を聞いているとあなたにはできそうです。今度、夢で怒りそうな時は試してみてください。怒りは抑え込んでストレスにするのではなく、楽しく無くす。そこは自分の腕前次第です。



■出典    『それならブッダにきいてみよう: ライフハック編2』
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