【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日テーマは「子どもの能力を育てる叱り方、しつけ方」です。
[Q]
子どもの能力を育てる叱り方、しつけ方について教えてください。
[A]
子どもがなにかしてしまったとき、つい感情的になって「こら!」と言ってしまいますが、それはアウトです。子どもの脳は成長しません。脳は楽しいとき成長するものです。嫌な気分になったら脳が萎縮します。みななんの躊躇もなく、子どもを叱るのですが、子どもが嫌な気分になって脳が萎縮することを気にしないのです。
叱るのは親の務めですが、脳が萎縮しないように楽しみを、ユーモアを入れたほうがよいのです。具体的に理解するために、ひとつのストーリーを作ります。ある子どもは学校でけんかをして友達を殴る。先生は親を学校に呼ぶ。そのときは何事もないように、被害を受けた子どもに謝って、自分の子どもにも「あなたの大事な友達でしょう。ごめんなさい、と言ってください」と言って、冷静に家に帰ります。子どもを叱りません。家でみんなが集まり世間話をしている途中で、「こんど学校に行くときは、私は顔を隠すためにマスクを買わなくてはいけないわ」と言います。みなびっくりして、母の顔を見るでしょう。そのとき「だって今日この子がやったことをまたやってしまったら、恥ずかしくてたまらないでしょう。人に顔を見せるわけにはいきません」と言います。この場合は、子どもは叱られていないと、理解するのです。しかしからかわれているのだとわかっているのです。家族の中で、からかわれないようにしなくてはいけないと思うに違いありません。
言い方はいろいろあります。たとえば、「○○君はとても頭が良いです。しかしひとつ問題があります。一度でもいい点数を取ったことがないのです」。これは褒めているのか、けなしているのか、よくわからない言葉です。人生全体にユーモアを入れて生活すればよいでしょう。うまくいくと思います。子育てに限ったことではありません。短い人生を神経質にならないで、気楽に楽しく生きることです。
■出典 『ブッダの質問箱』