松本紹圭(僧侶)
アルボムッレ・スマナサーラ(テーラワーダ仏教長老)

松本紹圭師がホストを務めるポッドキャスト番組「テンプルモーニングラジオ」で、2025年に実現したアルボムッレ・スマナサーラ長老との対談を記事化。サンガジャパン編集部も収録に同席し、音声で届けられた対話を写真とともに再構成しました。普段は音声でしか触れられない番組の対話を、記事と写真でお届けします。

第2回    真理を語る責任


■「他はやるな」の壁

松本    行った先が駒澤大学だったのですよね。

スマナサーラ    そうです。

松本    長老は駒澤大学の奈良康明先生のもとで学ばれました。駒澤大学といえば、坐禅で知られる禅宗、曹洞宗——道元禅師の流れを汲む大学です。一応仏教国である日本にいらしてみて、駒澤大学や日本のお寺、社会の中に息づく日本の仏教と、最初にどのように出会われたのでしょうか?    また、その印象はいかがでしたか?

スマナサーラ    その時は日本のお寺とはほとんど関わりがなかったんです。国費での留学でしたから、もうずっと学問の世界でね。

松本    大学ですもんね。

スマナサーラ    駒澤大学には確かに曹洞宗のお坊さんが多く在籍していましたが、僧服で通学していたのは私だけ。他の人たちは皆、私服で研究者や学生として活動していました。皆さん僧侶というよりは、一人の学生として過ごしていましたのでね。私は彼らと仲良くしていましたよ。皆お寺の関係者ですから知識も豊富で、日本のお寺のしきたりや習慣について、いろいろと教えてくれました。こちらも「スリランカではこうだ」と言ったりして、ディスカッションしたものです。
    駒澤大学は曹洞宗の大学ですから、当然ながら道元禅師の教えや曹洞宗の教学を中心に学び、他の宗派について深く学ぶ機会はあまりありませんでした。日本の仏教界で個人的に嫌だったのは、あまりにも宗派同士が離れていることですね。大学が特定宗派に強く結びつき、「ここではこの宗派だけを学べ、他はするな」という閉鎖的な習慣がある。外国人として、なぜ大学という学問の場がオープンでないのかと、違和感を覚えたものです。

松本    窮屈だったのですね。それで長老も道元、禅の研究をされたわけですね。

スマナサーラ    そうです。