貪瞋癡から解放されようという目標を、日常の言葉で歌ったらしきものに、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」があります。前半部分の「欲ハナク 決シテ瞋(イカ)ラズ イツモシヅカニワラッテヰル」のあたりです。癡というのは、いわゆるお馬鹿さんというよりも仏教の道理のわからない無明を指す言葉ですが、無明がなくなった境地のビジュアルな表現として、いつも静かに笑っているキャラクターを造形しています。

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中村圭志(編集者、翻訳家)
(サンガジャパンVol. 16 「怒りを制するロジック」)
※肩書は掲載時