【スマナサーラ長老に聞いてみよう！】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「怒りの伝染を避ける方法」についてスマナサーラ長老が答えます。
[Q]
会社組織の中にいると、怒りのある人から怒りが伝染するようなことがあります。その怒りから離れたいのですが、そう簡単には会社を辞めたり、場所を変えたりすることができません。それが上司であったりする時、その怒りを避けるためにはどうしていいのか悩むことが多いです。どうしたらいいでしょうか？
[A]
■自己を戒めるための宿題
上司が怒りの炎をこちらにぶん投げてきたとしても、自分がさらにそれを燃やすのではなくて「これは私の修行・宿題である」として「この怒りの炎で私まで燃えてしまわないように頑張らなくては」と思うのです。「相手が怒っても私は怒らないように」と自己を戒めるのです。自分を戒めることが修行ですからね。人を直すことではありません。逃げてはいけませんよ。仏教徒は逃げません。
相手に何か言われたら「では心を清らかにしよう」と思うのです。「これは私の宿題だ」とするのです。上司の問題ではありません。上司が悪いわけではないのです。部下がとんでもないことを言っても、部下は悪くはありません。「お前は部下のくせに何を言うのか」という態度ではダメです。その時、私がどう対応するのかと、自己を戒めるための宿題なのです。
ですから、何事も良い条件であるなら、威張らないように自己を戒める、舞い上がらないように戒める。悪い条件の場合は、怒らないように自己を戒める、落ち込まないようにと自己を戒めるのです。そういうふうに自分を育てていくのです。
仕事はある時期で辞めてしまうものですが、人生は死ぬまで続くものです。ですから、自己を成長させた方が仕事の給料よりは遥かに価値があります。そういうふうに頑張ってみてください。
■出典 『それならブッダにきいてみよう：人間関係編』 