アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「仏教と社会改革」です。

[Q]

    お釈迦様は社会改革に対しては、どんな態度でしたか?

[A]

    お釈迦様が教えるのは、いつでも心の改革です。社会は放っておいても変わります。
    ある社会システムが永久的に存在するわけではありません。「平等で平和な社会システムにしましょう」と考えて改革しても、また別の問題が生まれます。たとえば日本の社会にしても、戦前は貴族や財閥がいるかなりの縦社会で、敗戦とともに身分は平等になりましたが、今度は経済の変化とともに、ものすごい格差が生じています。つまり、社会というのは「こうであるべき」という普遍的な真理は成り立たないのです。
    ですから、改革すべきは心なのです。心は放っておいたら堕落の方向にしか行きません。歯をくいしばってでも、心を改革しなくてはいけないのです。個々人の心を改革しさえすれば、当然、社会は良い方向に向かいます。ですから、社会改革そのものに、わざわざエネルギーを使う必要はありません。それがお釈迦様の考え方です。


■出典    『ブッダの質問箱』