アルボムッレ・スマナサーラ
【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「パワハラの原因は?」です。

[Q]

    パワハラは仏教的にみて、どのような原因で起こるのでしょうか?    パワハラが起きない職場にするためにどのような方法がありますか?
※パワーハラスメント。組織内での地位の差を悪用したいじめや嫌がらせ。



[A]

■パワハラをする人はリーダーの資格無し

    パワハラは世の中でしてはいけないことですが、人間はよくやっていますね。パワハラのない職場を作りたければ、経営や運営を司るトップから意識を改めなくてはいけません。まずトップがパワハラを容認しない考えや性格(人権を尊重することや、慈悲の気持ち)を持つ必要があります。そうすればその下の役職の人々も同じ考えを持つようになるものです。パワハラで人を管理しようと部下に無理を強いる場合、その上司は精神的に健康ではありません。リーダーになる能力をある程度備え持つ人はパワハラをしません。なぜなら、そもそも能力・素質があるので、地位や権限といった権力を使わなくても人々を管理することができるからです。リーダーの資質がある人に管理されることで人々は喜ぶのです。信頼できる人がいることで幸福になるのです。自分の仕事で間違いやわからないことがあったら手を差し伸べてくれる。だから、皆がリーダーを頼りにするようになります。

■リーダーになるより    まず優しい人間になる

    人間は、どういう人がリーダーに相応しいのか、ということを学んだ方が良いですね。しかし、そもそもなぜそんなにリーダーになりたいと思うのでしょうか?    我先になりたいと思うこともおかしいと思います。自然な流れとして、自分が人々を管理することになれば、それは仕方ないことです。マニュアル化されたリーダーになるための訓練を受けたとしても、その人がリーダーになれるか、相応しいかはわかりません。リーダーになりたがるその前に、真面目で素直な人間になる訓練を受けた方が良いと思います。まず、誤魔化しやインチキ・騙しのない人間になるよう訓練するべきです。リーダーになるよりも前に優しい人間になる訓練を受けるべきなのです。

■リーダーは惨めな役割

    ただ、リーダーというのは決して楽しい役目・役割ではありません。責任がとても大きいからです。自分の受け持つ仕事だけではなく、部下や取引先のことまで心配しなくてはいけなくなるからです。組織が失敗しないように広範囲のサポートしてあげなくてはいけない。それがリーダーの役割なのです。リーダーは我儘を言えなくなります。ですから、資質のあるリーダーというのは惨めで、この役目は最悪で面倒だと感じることになるのです。リーダーシップというのは傍から見るほど輝かしいものではありません。

■生命は平等、尊厳を犯すことは罪

    このリーダーの資質や能力がない人がパワハラをするのです。立場や権限などの力を使って人々を押さえつけ管理・支配しようとします。ということで、パワハラをする人にはリーダーの資格はありません。外から借りた力で人々を押さえつけるのは間違ったやり方です。上司の権限というのは組織からの借りもので、その人に備わっている力ではありません。上司だから偉いということではありません。借りた武器を無闇に振り回すというのはむしろけしからんことです。リーダーは会社にいようが家庭にいようが、友達と一緒にいようがリーダーです。皆を率いて、まとめて、導いていくものなのです。トラブルを解決し、より良くなるよう提案し、実行計画を立てるのです。そして人々に仕事を振り分け、そうすることで皆が助かり幸せになる。誰かの力を借りて人をぶん殴るというのは間違っています。

■パワハラの対処方法はケース・バイ・ケース

    パワハラのない世界や職場を作ろうとしても相当難しいと思います。嘘をつかない社会を作ろうとするようなものです。嘘をつくことは間違っているのですが、殆どの人は嘘をつきます。実際にパワハラを失くすためにはケース・バイ・ケースで、その状況に応じ組織やルール(法律)を使って対処しなければいけません。



■出典    『それならブッダにきいてみよう: 人間関係編2』
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