松本紹圭(僧侶)

春山慶彦(株式会社ヤマップ    代表取締役CEO)


松本紹圭氏がホストを務め、さまざまな分野における若きリーダーと対談し、新しい精神性や価値観を発見していく「Post-religion対談」。今回は株式会社ヤマップ代表取締役CEO春山慶彦氏との対談です。「山を歩く」という行為から現代社会を生きるために必要な価値を見出し続けてきた春山氏は、松本氏との対話を通してその意義をさらに深めていきます。全6話連載の第5話をお届けします。


第5話    自分を動かすつながりの感覚


■喜びを分かち合う

春山    幸せに生きるということは徳を積むことです。徳を積むというと、現代では、いいことをするというようなイメージしかないかもしれませんが、貝原益軒はこのように言っています。「人の身は父母を本とし、天地を初とす。天地父母のめぐみをうけて生れ……(以下略)」。要は、自分の身体というのは天地父母から与えられたものであり、宇宙の全部の縮図が自分なので、自分が喜んでいるということは環境が喜んでいるとか、祖先が喜んでいるということになるわけです。

松本    アンセスターの恵みによって成り立っているということは、私が嬉しければアンセスターも嬉しいのだと。

春山    そうです。喜びを自分だけにとどめず、どう今の人たちと分かち合うのか、あるいは次の世代と分かち合うのか。

松本    未来の人たちとも分かち合う。