アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「ブッダ入滅時のサンガの規模は?」という質問にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

    お釈迦様が涅槃に入られたときのサンガの規模は、どのくらいだったのですか?

[A]

    お釈迦様は、サンガの規模を数字ではおっしゃっていませんし、統計の記録もありません。「何百人でも何千人でもいます」とおっしゃったことはありますが、これは出家して悟りを開き、その後、各地に分かれて修行の指導にあたっていた方たちも含めた人数だろうと思います。
    ただ、経典には「お釈迦様はだいたいいつも二五〇人の比丘たちと歩いた」という記述が、よく出てきます。学者の先生方は、それを読んで「二五〇人の、ある決まったグループで歩いたのでしょう」と分析するようですが、私は違うと思います。この二五〇人という数は、お釈迦様が一度に管理できる人数だと思います。二五〇人なら説法なさる声もきちんと届くし、瞑想指導もきちんとできる。個人的なトラブルの解決もできる。そういう意味で、二五〇人ぐらいが一番手頃なのだと解釈できます。
    なかには「サンガは一〇万人以上もいた」という記述もありますが、ふつうに考えても千人、二千人を一堂にまとめることはしないでしょう。
    涅槃に入られた入滅の地、クシナーラーまで来た人数は、『大般涅槃経』には書いてありません。修行中の弟子たちも一緒についていくでしょうし、最後にお釈迦様が村の人に説法したり、お坊さんたちに大事なことを言ったり、涅槃に入る前にやるべきことがいろいろとあって忙しかったはずです。しかも行く先々で、「これがお釈迦様の最後の旅だ」とわかると、みんな、ついて歩いたことでしょう。ですから、相当な人数だったかもしれません。あるいは、「お釈迦様はご病気だから静かにしましょう」という気持ちで、そんなに大人数ではなかったかもしれません。いずれにしても、記録はないので定かではありません。



■出典    『ブッダの質問箱』