アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「仕事での怒りを繰り返さないためには?」という相談にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

   仕事のパートナーに上から目線なことを言われて、半日怒りが続いてしまいました。ほとほと疲れてしまいました。繰り返さないためにどうすればよいでしょうか?
 
[A]

■「怒らないこと」を訓練するのは仏弟子だけ

    私たちは怒りを燃やす燃料を持っているのです。それで大惨事を起こしてしまう。ガソリンスタンドに火をつけるような感じです。怒りが込み上げてきても、わざわざ自ら燃料を補給しないことです。怒りを燃やす燃料とは「自我」です。「偉いのは自分だ」という気持ちが自我です。しかし、自分が偉いということはあくまでも主観ですから成り立たない話ですね。頭がおかしくなっている状態です。自我とは自分が燃えている状態です。仏教の教えを学んで怒りを抑えたらその方が気持ちいいでしょう。怒りを抑える人は周りの怒りも消しますからね。
    仕事のパートナーに怒りをぶつけられたら、「この人は怒りで燃えているのだ、放っておきましょう」と客観視する。そうやって楽観的に見ておけばいいのです。相手は自爆しているのだから、わざわざ周りが被害を受ける必要はありません。高圧電線にわざわざ触るなかれ、ということです。
    人は怒るものです。「怒らないこと」を訓練するのは、ブッダの教えを直々に学んでいる人だけです。どの宗教や宗派も「怒るな」と言ってはいるけれど、修行に取り入れてはいません。人格を向上させることはしないのです。世の中を見渡すと誰一人、怒りを制御する訓練をしていません。ですからわざわざ触らないこと、放っておくことです。自分で自分の怒りに打ち勝ったら、その人は楽になるのですから。一人で頑張って怒らないことによって、周りにも幸福をもたらす立派な人間になっているのです。そうやって自他に幸福をもたらす道を歩んでみてください。


■出典     『それならブッダにきいてみよう:人間関係編』 

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