アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「働かない息子を何とかしたい」という相談にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

    性格は良いのですが、働く気のない息子に何と言って指導すればいいのでしょうか?

[A]

■生きる権利を放棄してはいけない


    「働かざるもの食うべからず」という諺がありますからね。禅の言葉にも「一日不作一日不食」とありますが、それはそのとおりなんです。それがわかっていないならば、完全な愚か者か、精神的な病気かどちらかです。まだ何もわからない子供は親が養う必要がありますが、一人ひとりの人間が何かの仕事をしないといけません。それは欠かせないのです。ですから息子さんにも、「『一日不作一日不食』という仏教の格言があって、働かないあなたは、生きる権利を放棄していることになるのです。」と教えた方がいいでしょう。「私は息子のあなたに死んで欲しくない。幸福に生きて欲しい。だから何でもいいから仕事をしなさい」と言うべきです。
    これは親の育て方が悪いのですね。「人生はとんでもなく厳しい」ということを教えていないのです。人間というのは仕事しないといけません。子供の時は子供の仕事、老人になっても、その年齢に相応しい仕事があります。〝果たすべき義務を果たす〟それが仕事です。独立すべき時は独立する。結婚するべき時は結婚する。それが人生ということです。ですから、人生というのは苦しいんだ、大変ですよということをしっかり子供に教えてください。人生は苦しいものです。今も、これまでも、これからも。安定した仕事なんていうものは成り立ちません。いつクビが飛ぶかわからないのです。ということで、厳しいことに立ち向かって成長することを学ばないといけません。病気でもなく、仕事をすべき歳なのにしないでいるならば、それは一食食べるごとに、その一食分が罪になります。そうやって借りて食べる人々は、私の国の言葉では「牛や馬に生まれ変わって人々の奴隷のように扱われる」と言います。タダで食っているのだから、それで借りを返しているのですね。タダ飯食らいは借りなのです。借りはいけません。仏教では、借金はだめなのです。食べる場合は、それが「借り」にならないように気をつけてください。



■出典     それならブッダにきいてみよう: 人間関係編1 | アルボムッレ・スマナサーラ | 仏教 | Kindleストア | Amazon

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