アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「お経はいつから唱えられるようになったのでしょうか?」という質問にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

    お経はいつから唱えられるようになったのでしょうか?

[A]

    お釈迦様は真理の大事なポイントをまとめて語ることにしました。そのような教えをよく覚えておくようにとも言われたのです。お釈迦様の教えの真髄だともいえる大事な説法を出家者は暗記して忘れないように復習する習慣がありました。暗記する場合は、その言葉をなにかのリズムに乗せたほうが暗記しやすい。そのためにブッダの言葉は「偈」(詩)で残されたのです。それを出家者たちは毎日唱えて復習したのです。これがお経を唱える習慣の始まりです。
    この習慣は徐々に変化して、修行とは意味もわからずお経を唱えることだと思うところまで堕落してしまいました。ご利益のためにお経を唱える習慣はずいぶんあとの話です。聖典を唱えればそれだけでご利益だという思考は、バラモン教のものです。仏教は経典の意味を理解する、覚える目的でお経を唱えるのです。




■出典    『ブッダの質問箱』