アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「過去との向き合い方」です。

[Q]

    お伺いしたいのは過去のことです。お釈迦様の教えのおかげで、毎日温かく幸せな気持ちで過ごせるようになり、昔より気楽にもなりました。苦しみしか無かった人生が、幸せを感じるよう変わっています。ただ、どうしようもなく深く傷ついた、あるいは傷つけてしまった、誤った選択をしてしまった過去が時々、頭をよぎり、とても心が苦しくなります。きっと生涯苦しむ問題だと思います。どう向き合っていくべきでしょうか?


[A]

■間違い自慢をしてみよう

    それはちょっとまずいでしょうね。過去の過ちを思い出すたびに苦しくなってしまうというのは……。「昔は結構バカなことをやっちゃいまして」と、気楽に受け止めればいいんですけど、そうでなければかなりヤバいと思います。
    この方は、「きっと生涯苦しむ問題だ」と自分で決めつけていますね。そうでは無くて、過去にはいろいろ間違ったことをしたということは確認して――それは決して、恥ずかしいことではないし、誰だって間違いを犯しますから――ただ、間違いを発見・認識する必要があります。これは人間にしかできません。「あれは間違いでした」と、それからは気を付ける。それしか成り立たないでしょうに。この「間違いは一生背負っていかなければならない」とか、「一生苦しまなければならない」と考えているとしたらものすごく危険な状態です。
    答えはいたって簡単で、誰だっていろんな変な間違いを犯すのだから、むしろ間違い自慢をすればいいんです。「私の過去のアホさを比べたら、あなたは敵いませんね!」という感じで。まあそういうアプローチで見てみれば大丈夫だと思います。「過去の過ちを消してやる」と頑張っても意味はありません。悪結果にならないようにすることなんですね。



■出典    『それならブッダにきいてみよう: こころ編4』
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