アルボムッレ・スマナサーラ
【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。

[Q]
    「(仏道)実践をする人は法に確実に守られる」という長老の言葉についての質問です。このコロナ禍・災害続きの世の中においても、心を清らかにしようと毎日瞑想実践する人は、自然災害やウィルスなどからも法が守ってくれるという解釈をしてもよろしいでしょうか?


[A]
■「Dhammo have rakkhati dhammacāriṃ(真理に従う人を真理が護る)」の意味


    気をつけてください。質問された方のように解釈してしまうと、仏教は神秘的な教えだと誤解されてしまいます。「法に守られる」ということは、自然災害やウィルスから身が守られるなどという単純なことではなくもっと複雑なのです。自然災害に遭った時には、自分の業によって被害を受けたり回避できたりします。そんな時にでも気づきを実践しているなら、身を守られる可能性があります。ウィルスに感染しないなど極端なことは言えませんが、過度に神経質で、問題を過剰に捉え、他人や社会までも憎み、あれこれと悪口を言ったり、非難したり、怯えて夜も眠れないなど、心が不安定で感情が激しく波打っている人は影響をもろに受けやすいのです。

■システムも心の状態で正常化する


    仏道実践している人が、怒りや憎しみや恐怖も無く普通に生きているなら、心が落ち着いている分は免疫作用も適切に機能します。身体の免疫システムと精神状態は、とても深く密接に繋がっているからです。他のことも精神状態に繋がっています。食欲や睡眠欲などもそうです。心臓の鼓動でさえも、緊張や不安を感じると早まります。そのように、環境の変化に対して免疫システムが全く機能しなくなれば、人間はすぐに死んでしまうのです。

■因果法則により 行為は結果を出す


    ということで、法(真理/仏道)を実践する人は、心の落ち着きにより免疫システムがしっかりと機能することになります。例えば修行僧たちはあまり治療を受けることがありません。ただ、免疫システムがフル活動しても、それよりウィルスや細菌の能力の方が上であれば発症して死んでしまいます。自身の免疫システム(能力)がどのように働いているのか自覚はありません。人によって免疫システムのパワー・機能の仕方は違います。身体の各機能は精神状態によって左右されます。心が落ち着いている人なら、身体の機能がフルパワーで活動するのです。
    その反対に、ストレスだらけでいつも混乱し、悩み、怒り、他人をバカにし、心が貪瞋痴で波打って安定しない場合は、免疫システムも最低限しか機能しません。そういうことがあります。こういうことも「法に守られる」ということの二次的・副次的なことに過ぎません。

■「法に守られる」とは 解脱まで安全に進むということ

    本当の意味で「法に守られる」というのは、解脱まで無事に導かれるということです。真理を正しく実践するなら、何の事故も起こさずに安全に解脱まで自分を運んでくれるのです。これは瞑想修行している全ての修行者が経験することです。自分自身でも「法に守られている」と実感することができます。

■真理が心を導くガイド・アドバイザーとなる

    例えるなら、ものすごく能力の高い偉い先生が自分の傍にいるような感じです。いちいち指図されることは無いけれど、傍に師がいるのだから、気持ち良く安心して自分の課題をこなすことができるのです。わからないところが出て来たら、いつでも気軽に訊くことができる--そんな安心感があるのです。特に見張っているような感じではありません。見張られているとストレスになって、上手くできませんね。先生は傍にいるけれど、本や新聞を読んでいるように自分には無関心なので、気楽で安心することができる感じです。もし問題が起きたらすぐにアドバイスを受けられる。そんな感じが「法に守られている」という実感です。これが解脱に達するまで続くのです。


■出典    『それならブッダにきいてみよう: さとり編3』
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