松本紹圭(僧侶)

春山慶彦(株式会社ヤマップ    代表取締役CEO)


松本紹圭氏がホストを務め、さまざまな分野における若きリーダーと対談し、新しい精神性や価値観を発見していく「Post-religion対談」。今回は株式会社ヤマップ代表取締役CEO春山慶彦氏との対談です。「山を歩く」という行為から現代社会を生きるために必要な価値を見出し続けてきた春山氏は、松本氏との対話を通してその意義をさらに深めていきます。全6話連載の第3話をお届けします。


第3話    透明な身体感覚を取り戻す


■プロセスを大事に

春山    YAMAPが難しいのは自社プロダクトだということです。頼まれ仕事の場合は、言われた通りに作って納めれば終わりですが、自社プロダクトに終わりはありません。具体的に言えば、自分が使っていて使いにくいところは変えていきたいし、あるいは「もっとこうしたい」という理想や志も必要です。
    だから僕らはプロセス自体も大切にしていて、何かを達成するために、おしりを叩いて短期間で、ということはやったことがありません。僕らのやっているビジネスの舞台は自然です。だから結果が出るのに1〜2年、場合によっては5年くらいかかることも珍しくありません。僕らのビジネスの土俵は短期的な利益と相性が良くないんですよ。だからプロセスを大切にしないと、みんなが疲弊していってしまうんです。
    命を削って仕事をするのではなく、命のときめき、つまり自分たちの命のよろこびから溢れ出てくるものでサービスを作らないと、どんどん枯渇してしまいます。だから「自分たちがやりたいこと」「それが人に喜ばれること」「それが社会にとって必要であること」、この3つをいつも意識しています。僕たちはそういうチャレンジを続けている感じですね。