手束耕治(公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)専門アドバイザー/認定NPO法人ハートオブゴールド東南アジア事務所副所長/立正佼成会現地嘱託(仏教研究所支援事業)/カンボジア日本人会元会長)
ベトナム戦争が終わった年、1975年にはじまり79年までつづいたポル・ポト政権による、150万人以上が犠牲になったとされる自国民虐殺のジェノサイド。そしてそれに続く内戦で深い傷を負ったカンボジア。1992年のパリ協定で平和が回復し、国連UNTACの介入により社会が回復し、国が復興してきたと歴史は語る。しかしそれは一面的な見方にすぎない。最も悲劇的な時にも人々の心の奥深くに生き続けた仏教は、社会と文化そして深く傷ついた心が再生するときに光を放ち大きな力となってきた。そしてその回復のプロセスにおいて精神的支柱となった人がいる。カンボジア仏教長老のマハ・ゴサナンダ師である。カンボジアの復興の歴史を渦中で伴走されたカンボジア国際協力の草分け、元シャンティボランティア会カンボジア事務所所長の手束耕治さんにご自身のカンボジアでの活動と、マハ・ゴサナンダ長老の思い出、身近に接した活動の様子などをうかがった。貴重な歴史の証言を全4回に分けて連載。その第3回はマハ・ゴサナンダ師の活動と、現代まで続くその影響について、当時の貴重な写真とともにお届けする。
第3回 復興の精神的支柱だったマハ・ゴサナンダ師
■第2章 マハ・ゴサナンダ師とカンボジアの仏教精神
●マハ・ゴサナンダ師との出会い
サンティダンモ比丘によるゴサナンダ師の評伝『戦場のブッダ』クメール語版