手束耕治(公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)専門アドバイザー/認定NPO法人ハートオブゴールド東南アジア事務所副所長/立正佼成会現地嘱託(仏教研究所支援事業)/カンボジア日本人会元会長)

ベトナム戦争が終わった年、1975年にはじまり79年までつづいたポル・ポト政権により、150万人以上が犠牲になったとされる。そしてそれに続く内戦で深い傷を負ったカンボジア。1991年のパリ協定で平和が回復し、国連UNTACの介入により社会が回復し、国が復興してきたと歴史は語る。しかしそれは一面的な見方にすぎない。最も悲劇的な時にも人々の心の奥深くに生き続けた仏教は、社会と文化そして深く傷ついた心が再生するときに光を放ち大きな力となってきた。そしてその回復のプロセスにおいて精神的支柱となった人がいる。カンボジア仏教長老のマハ・ゴサナンダ師である。カンボジアの復興の歴史を渦中で伴走されたカンボジア国際協力の草分け、元シャンティボランティア会カンボジア事務所所長の手束耕治さんにご自身のカンボジアでの活動と、マハ・ゴサナンダ長老の思い出、身近に接した活動の様子などをうかがった。貴重な歴史の証言を全4回に分けてお届けする。その第2回はポル・ポト政権下での仏教の破壊と、仏教を力にして復興していくカンボジアの歴史について。

第2回    ジェノサイドそして内戦からの復興を支えたカンボジアの仏教信仰


000000020015.jpg 344.01 KB
緑豊かなカンボジアの大地に地雷源を示す赤い標識が見える
●ポル・ポト派によって破壊しつくされたカンボジアの仏教