『サンガジャパンVol.16』特集「怒り(2013年)


出版社 ‏ : ‎ サンガ
発売日 ‏ : ‎ 2013/12/27
単行本 ‏ : ‎ 299ページ
 

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特集「怒り」

 サンガ新書の『怒らないこと』が出版されたのは二〇〇六年の八月である。そのカバーの袖にある紹介文にはこうある。「昨今では、怒って当たり前、ややもすると怒らないと不甲斐ないとでも言わんばかりです。」つまり、今から七年ほども前には、怒りは悪いものとはみなされない、世間一般の風潮だったということだ。しかし今はどうだろうか。「怒らない○○」であるとか、「怒りを静める○○」など、怒りを生きるうえでの一大問題として扱った本は、枚挙にいとまがない。さらには「アンガーコントロール」「アンガーマネジメント」などの言葉で、企業社会にもその問題意識は広がってきているようだ。では翻って、現今の社会状況に対して、我々は怒りの声を上げなくて良いのか? 危機意識のアンテナの感度は、いや増しに高まるばかりである。

 しかしブッダは、「怒り」に対して、いささかの価値も認めない。そのことの意味が本特集により明らかになるだろう。「怒り」にフォーカスを当て、心の問題として対象化する仏教の智慧と理と方法を、そして「怒り」を巡る比較文化的考察を各氏にいただいた。

 今我々に必要なのは、改めて心の中の感情、「怒り」に気づき、それに智慧を持って対処する具体的な方法を得ることではないだろうか。心を統御できたとき初めて、人生にも社会に対しても、建設的にコミットすることができるのではないか。本特集がそのための一助となれば幸いである。

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目次

 

アルボムッレ・スマナサーラ
現代の「怒り」にどう向き合うか
プラユキ・ナラテボー×熊野宏昭
「怒り」に対処する臨床心理と仏教の実践
ティク・ナット・ハン(釈一行)
マインドフルネスの実践で、怒りに対処する
石飛道子
仏教と西洋思想による「怒り」へのアプローチ
中村圭志
怒りを制するロジック
石井光太×開沼博
特別対談「われわれは、なぜ「周縁」に着目するのか?」
島田裕巳
「幸福の科学」と池上彰
浦崎雅代
カンポン・トーンブンヌム氏来日講演報告記 気づきは自分を見守り育む親のように

田口ランディ対話シリーズ
仏教のコスモロジーを探して:太陽が照らすがごとき、絶対肯定の『法華経』の世界 第六回 久保田尭隆
蛭川立
連載第二回 心物問題の形而下学に向けて:「超常現象」概念の解体とその発展的再構成へ
藤本晃
新連載 日本仏教は仏教なのか:「最古層」の韻文経典に「後代」の三界説あり