『別冊サンガジャパン Vol.4』特集「死と輪廻」(2018年)


出版社 ‏ : ‎ サンガ
発売日 ‏ : ‎ 2018/4/25
単行本 ‏ : ‎ 404ページ
 

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特集「死と輪廻」

 仏教には、腐敗していく死体を観察することで智慧を生むという「死随念(死の瞑想)」と呼ばれる修行がある。「死」という紛れもない現実をあるがままに受けていくことで、ものごとを理性的に判断できるようになるという。死を意識すること。死を認めること―今こそ、その重要性を再確認していきたいと考えた。

 人類の歴史は、常に死を怖れ続けてきたといっても過言ではない。「不老不死」という言葉は、人々のあこがれの象徴として、時代を問わず様々な宗教や寓話の中に登場する。人々は「老い」や「死」を忌み嫌うものとし、その対極として「若さ」や「生」、そして「永遠」に執着し続けてきたのだ。現代ならば「アンチエイジング」という言葉の流行が、その象徴とみることができるだろう。

 しかし、生命は必ず死ぬ。いくら生き延びようとしても、死ぬ。「死」は治療可能な病ではなく、自然の摂理だ。死は生と隣り合わせに存在している。

 そして、一つの生命体のように見えるものも、無数の細胞が常に生滅を繰り返す。

 だとすれば、死は無理に遠ざけるものではないし、できるはずもない。

 少子高齢化、さらには多死化時代を迎える二一世紀、「死」をとりまく様々な問題が増加するのは確実だ。社会として、また一個人として「死」とどう向き合えばよいか。悲観的でもなくポジティブでもなく、穏やかに死を迎えることはできないか。「死」をもう一度、見つめ直したいと思う。

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目次

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Part 1 輪廻と仏教

座談会「「輪廻」とは、何か?」[司会]宮崎哲弥 [出席]南直哉/望月海慧
「アルボムッレ・スマナサーラ長老『ブッダの実践心理学』特別講義 涅槃(ニッバーナ)について ダイジェスト版レポート」佐藤哲朗 
「人間に生まれるとき。人間で死ぬとき。」藤本晃 
「パーリ経典に描かれる比丘の自殺と対話の意義」川本佳苗 
「輪廻、業、無我」西澤卓美 
「輪廻の話」佐藤剛裕 
「日本のマインドフルネス、もう一歩前へ!」山下良道

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Part 2 現代人と死

インタビュー「終末期医療の医師が語る幸せな「死」との向き合い方」大井玄
「いのちの歴史と未来の医療」稲葉俊郎 
インタビュー「チベット仏教と死と医療」Dr. バリー・カーズィン [聞き手]佐々涼子
「問われるべきは「死」ではなく「葬」である」一条真也 
「開かれた死によって生きる豊かさと出会う」浦崎雅代 
「認知症高齢者グループホーム「むつみ庵」と日本人の死生観」釈徹宗 
「死と仏教」田口ランディ

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Part 3 死を考える

「宗教別に見る「死後の世界」」中村圭志 
「考えるところに、死の恐怖はおこる。」板橋興宗
インタビュー「「死」を消し、インドの地に蘇生する、気魂の仏教者」佐々井秀嶺
「本から死を考える」三砂慶明