仏教と科学が発見した「幸せの法則」』アルボムッレ・スマナサーラ[著]前野隆司[著]

 

出版社 ‏ : ‎ サンガ
発売日 ‏ : ‎ 2017/11
四六判 ‏ : ‎ 286ページ
 

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紹介

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「私」という幻覚を越え、「真の幸福」へ!

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2500年前の「ブッダの教え」と

最新の「幸福学の研究」が、

「幸せになる」というゴールへ、

重なり合いながら突き進む――

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生き方をダイナミックに変える白熱対談!

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■茂木健一郎 氏 推薦!

■池谷裕二 氏 推薦!

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幸福についての議論は、時に表面的なものになりがちだ。ロボット工学、意識の科学、幸福学の知見が、仏教の思想、実践、伝統と響き合う本書は、深い本質の部分での「幸福論」を提供している。知的好奇心と感情の両方が満足する、稀有な本である。

茂木健一郎

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「私」の実存を否定することでヒトは幸せになる――。本書ではそんな火の玉のように熱い議論が、しかし静謐に展開されます。そして、読み終えた私の中に新しい自分像が芽生え、なぜか不思議と安堵するのです。

池谷裕二


本書の構成(目次より)

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第1章 仏教の原点をめぐって

第2章 心とは何か

第3章 幸せになるための四つの因子

第4章 仏教は心の精密科学

第5章 正しく幸せを目指す

第6章 教育と幸福学


 

まえがき 前野隆司(本文より抜粋)

まえがき    前野隆司

 宇宙はいまから一三八・二億年前にできたと考えられています。ビッグバンの瞬間です。それ以来、宇宙は光の速さで拡大してきました。その結果、現在の宇宙は巨大です。一三八・二億年の間、宇宙を形成する物質とエネルギーはインタラクション(相互作用)を繰り返してきました。延々と。

 その結果、星雲や星団ができ、銀河系ができ、太陽系ができ、地球ができ、生命ができ、動物ができ、哺乳類ができ、人類ができ、農耕文明ができ、宗教ができ、国家ができ、産業革命が起こり、現代社会ができ、さまざまな社会問題が生じました。環境問題、戦争・紛争、飢餓、格差の問題、科学技術倫理の問題、などなど。現代社会には悩みと苦しみがあふれています。

 しかし、考えてみてください。一三八・二億年前、ビッグバンの瞬間には、すべては点だったのです。私たち人間や、生きとし生けるものや、あらゆるモノを形成している物質とエネルギーは、みんな同じ点にありました。そんな、かつてはみんな一緒だった私たちが、自由意志を持った個人に分かれて、分断し、争っている。この価値観・世界観は適切なのでしょうか。

 私が提唱する受動意識仮説によると、自由意志は幻想です。リアルに存在するように思えるけれども、本当はない。昔、有名な漫画のフレーズに、「おまえはもう死んでいる」というのがありましたが、あれと似ています。私たちは、あらかじめ死んでいるようなものである。死んでいるようなものであるけれども、幻想のような生を楽しんでいるのである。宇宙史上最大級のラッキーによって。私たちはあたかも心を持った人間であるかのような充実したときを、宇宙の年齢と比べると一瞬ともいうべき約一〇〇年というはかない間とはいえ、過ごすことができる。なんて、ラッキーなのでしょう。相互作用する宇宙の一部である以上の何者でもない私たちが、幻想とはいえ生き生きと生きているかのようないまを楽しむことができる。なんて素晴らしいことなのでしょう。宇宙への感謝に満ちあふれざるを得ません。

 こんな私の価値観・世界観は、原始仏教のそれと近いのではないかとずっと思っていました。もともと原始仏教や禅の思想に本質的なものを感じ、スマナサーラ長老や中村元先生や鈴木大拙先生の本を読みあさっていた私にとって、長老との対談は、願ってもない光栄な機会でした。なんて素晴らしい宇宙のインタラクションの一部なのでしょう。そして、本書をお読みいただくとわかりますが、科学と仏教の類似点、相違点が、とても鮮やかに腑に落ちました。長老の説明は明快で、私の誤解も理解も明確になりました。これまで、多くの日本の僧侶の方と対話してきましたが、何か難解で理解できないものが心に残っていました。ところが、長老のお話は、すべてすっきりわかりやすく、心は晴れやかになりました。シンプルな本質を明快に伝える原始仏教の考え方をいまに残している上座部仏教と、年月をかけてインドから中国を経由して日本に入ってくる間に精緻化・複雑化・多様化・理解困難化した大乗仏教の違いを感じました。この本は、私にとって、とても大切な記録となりました。長老、ありがとうございました。心から感謝しています。

 本書を通して行なわれる、読者の皆様と私たちのインタラクションも、豊かで平和で幸せなものであることを願ってやみません。宇宙が始まったときは同じところにいた私たち。そしてこれからも永遠に宇宙の一部である以外の何者でもない私たち。そんな私たちが再びインタラクションできたことを心から嬉しく思います。あたかも生きているかのような皆様の心にも平安と調和が広がりますように。