『サンガジャパンVol.22』特集「瞑想を語る(2015年)


出版社 ‏ : ‎ サンガ
発売日 ‏ : ‎ 2015/12/25
単行本 ‏ : ‎ 269ページ
 

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特集「瞑想を語る」

 「語る」とは、何か。声に出して語ること、言語化すること、そしてものること。あるいは対話(dialogue)、独白(monologue)、物語(narrative)というわけ方もできるだろう。「瞑想を語る」ことによってあらわになるものは何か、というのが今回の特集である。瞑想法を語るのではなく、「瞑想」それ自体をテーマに「言語化」の試みである。

 瞑想を効用や意義、方法論などをいろいろな角度から語ることはできるが、日本で瞑想を語ることの足元に視線を落とすならば、私たちはそこに瞑想文化の地殻変動をみることになる。一九七〇年代から八〇年代にかけてはアメリカ西海岸およびインドの文化を輸入する形でおきたニューエイジ、精神世界ブームがあるが、それはサブカルチャーとしての展開であり、精神性の深い伝統(深い地層)と結ぶことはなかった。ゆえにこそ、それは一九九五年に極めて特異な形で突然の終焉を迎えるのである。深い地層を持ちえなかった日本の瞑想文化の文脈に大きな衝撃、地殻変動を与えたのが、アルボムッレ・スマナサーラ長老の登場ではなかったかと、私たちは考える。上座仏教(テーラワーダ仏教)の正統な瞑想法を、アビダンマの教理とともに体系的に伝えるスマナサーラ長老の存在により、おそらくは二〇〇〇年以降、瞑想の文化は「仏教」という確かな地面と、多様に展開し広がってもぶれない「仏教本来の」という軸を獲得した。西海岸において鈴木俊隆老師の活躍がその展開と成熟に欠かせないように、現代において瞑想文化が花開くなら、それは決して伝統と切り離れたものではない。

 そして私たちは今、さらなる地殻変動を経験している。「アップデート」の名のもとでの日本仏教の改革運動。正統テーラワーダのさらなる展開、医療と仏教瞑想の出会いによるマインドフルネス、脳科学と瞑想、等々。今私たちが「瞑想」を語るとき、これらいくつもの文脈の交差する地層において、何かを語ることになる。今号ではそれらを、個別的に見ていくことになるだろう。-

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目次

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アルボムッレ・スマナサーラ×名越康文
連載対談第二回 覚りに迫る認識論 
藤田一照×山下良道
対談「アップデートする仏教 この二年の波紋と差分 ——日本仏教に与えた波紋と現在を語り合う」
藤田一照師+山下良道師によるシリーズ
「アップデートする仏教を体感しよう!」ファイナル、完全レポート
蓑輪顕量×ギャナ・ラトナ
対談「ヴィパッサナー瞑想の真実 サティ(念)とサンパジャンニャ(正知)を考える」
Dr.バリー・カーズィン
インタビュー「慈悲と智慧の科学 チベット仏教と西洋医学の出会いが生み出す脳と瞑想の最先端」
Dr.バリー・カーズィンの『幸せの処方箋』瞑想研修会
越川房子
インタビュー「マインドフルネスは幸せに気づくことができる瞑想法」
石井光太×玄侑宗久
対談「祈りの本質を探る」
仏教先進国ミャンマーは変わりゆくのか?
・ミャンマー仏教の記憶に留めるべき面影
・ミャンマー巡礼を終えて (西澤卓美)
・“仏教テロリスト”とあだ名されるミャンマーの高僧 (インタビュー:アシン・ウィラトゥ)
・モーゴッ瞑想センター訪問 (インタビュー:ウーオーペイン)
・マハーシ瞑想センター最高責任者 (インタビュー:ウ・ジャティラ・サヤドー)
藤本晃
連載第六回 日本仏教は仏教なのか?