『ダンマパダ法話全集 第六巻』
アルボムッレ・スマナサーラ[著]
4,620円(税込)
サンガ新社[刊]
2025年10月刊行
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紹介
全二十六章・423偈の『ダンマパダ(法句経)』を、全十巻シリーズで完全網羅。
どの巻からでも読むことができる、スマナサーラ長老の『ダンマパダ法話全集』。
第六巻は「愛するものの章」「怒りの章」「汚れ(垢)の章」。
愛・怒り・欲――
湧き上がる感情になぜ私たちは支配され、
振り回されてしまうのか?
現代の苦しみの構造と、
そこから抜け出す「本当の自由」を、
お釈迦様は二五〇〇年前に見抜いていた!
「四行で構成される偈が伝える真理が圧巻なのはもちろん、偈の真意を、厳密に正しく
分かりやすく教えるスマナサーラ長老の解説は、見事の一言に尽きる。」―― 序文 名越 康文
目次
序文 名越 康文
第十六 愛するものの章
Piyavaggo
209 好きな生き方は悪魔のご褒美
好き嫌いに操られない人は幸福です
Predilection is a death trap.
210 好きな生き方が招く危機
好みに執着すると、精神病になる
Attachment attacks your mental health.
211 好きを追って、不幸にたどり着く
実用主義者は好き嫌いに悩まない
Suffering is the goal of attachment.
212・213 表は「好きと愛」、裏は「悩みと恐怖」
世界が変わっても苦しみは消えない
Affection, worry and fear; the trinity of life
214・215 美しく燃える欲の炎
性欲は危険と苦しみにかぶる目隠し
Lust is a fire storm.
216 ブッダが発見された真理―渇愛
物事に納得いかないことで、苦しみが続く
Suffering begets craving and craving begets suffering.
217 他人に好かれる道
人の目を気にする人は、嫌われる
Real leader discerns one's own self.
218 解脱は理解できない
仏教徒は、ブッダの道を歩んでいるのか?
Conflict of objectives.
219・220 皆に好かれる人間になりたい
ブッダが説かれる正しい好かれ方
The path to become admirable is simple.
第十七 怒りの章
Kodhavaggo
221 怒りは心の自動発火装置
怒りは簡単に消えないもの
Anger, an innate distructive force.
222 人生のプロドライバーになる
怒る人は多重に損をする
Anger assures your downfall.
223 怒りに慈しみで勝つ
世間論に従うと敗北する
Only Rational thinking solves the problems of life.
224 死後は天界を目指す
常識的な人間が天国に赴く
Commonsense is the short cut to heaven.
225 釈尊のもう一組の両親
親との絆は遺伝的ではなく、精神的です
You may have as many parents as you like.
226 心は無停止
絶えず汚れが生まれるので、修行に休憩なし
Taming the spoiled master (the mind) of life.
227~230 自分のことを棚に上げる
己を観ずに他人を観て、不幸を招く
Discovering and eiminating of weak points.
231~234 躾と行儀作法は正しいと言えますか?
変遷する社会に適した道徳
Rules cannot rule a person, but understanding.
第十八 汚れ(垢)の章
Malavaggo
235~238 臨終の時の説法
死をごまかして不幸になる
Victory at the last moment.
239 小さな善から始まる
一日で善人にはなれません
Self contradiction of the mind hinders your happiness.
240 身から出た錆
わずかな刺激で心は汚れる
The mind corrodes itself.
241 錆びるときは、人生も錆びる
心の汚れは、人生の錆です
The life rusts when the mind rusts.
242・243 無明は最大の錆
心次第で何にでもなる
Ignorance is the greatest evil.
244・245 善人はつらいよ
一攫千金の道は危険
Secular wealth destroys your spiritual nobility.
246~248 守りにくいから、戒という
人格者への道はまず道徳から
Morality challenges your personal weakness.
249・250 他人の幸・不幸が自分の悪業になったら
批判ばかりする人の心は悪思考で満杯
Calmenss within the turbulence
251 ブッダにも躾できない人
覚りを妨げるのは人の習性
Your character defines your whole life.
252・253 悪人が他人を批判する
人間には判断能力がついていない
Crooked mind sees only crooked.
254・255 空に足跡なし
現象に対する無執着が解脱です
The sky bears no traces of tracks.
前書きなど
【「序文」より(一部抜粋)】
名越康文
(精神科医、相愛大学・高野山大学・龍谷大学客員教授)
分かりやすい珠玉の解説
この序文を書くにあたって、いち早く本書を拝読することになり、人生にとてもよい時間をいただいた。四行の偈が伝える真理が圧巻なのはもちろん、ジャータカや仏典、つまりブッダ直伝の言葉を引用して、偈の真意を厳密に正しく分かりやすく教えるスマナサーラ長老の解説は見事の一言に尽きる。
読み進めるうちに、もう二十年近く前のことを思い出した。四十歳代後半、人生に行き詰まっていた頃のことだ。毎晩、すぐ近くにある家に帰らず、広尾の商店街の端にあった事務所で、雨を求める砂漠の砂のごとくスマナサーラ長老の法話に没頭した。インターネットから視聴できる長老の法話がたくさんあり、毎晩、貪るように二時間程度、聴き続けること百日以上。それほど、当時の私の心を平穏にしてくれるものは長老の法話以外になかったのだ。
法話を聴いた後は、深夜の一時や二時まで瞑想をした。事務所のある通りの奥に位置する禅寺の駐車場は夜、人気(ひとけ)がなく、歩く瞑想に格好の場だった。ひとしきり歩いては事務所に戻って、今度は座る。そんなヴィパッサナーの真似事みたいなことを繰り返した。途中、「ちゃんと習おう」と、東京で三回ほど、大阪でも一回か二回、やり方を確認するためにスマナサーラ長老の瞑想指導に参加し、説法も拝聴した。「あ、やはりこのやり方でいいんだ」と安心して、また広尾の事務所でずっと瞑想する日々。とにかく、その頃の自分にはそれがすべてだった。
お釈迦様の教えの普遍性を実感
考えてみると、スマナサーラ長老の分かりやすい解説の素材は、二千五百年前の社会でお釈迦様が見聞きした出来事や、それを元に紡ぎ出したたとえ話だ。しかし、二千五百年というタイムラグはまったく感じられず、身近なこととしてすとーんと腑に落ちる。哲学書や宗教書のような難解さは見られない。釈迦の教え・仏教は、限りなく深いにもかかわらず、中学生ぐらいの知性があれば充分理解できる。それでいて読む側の年齢によって味わいがまったく異なってくるのも魅力だ。
スマナサーラ長老は文脈によって、「真理は非常に明快で分かりやすい」と言いもすれば、「真理というのはおいそれと分からない」と言いもする。矛盾しているのではなく、真理は分かりやすいし、「分かる」と思えば実践できるかというと非常に難しい、その両局面があるということだ。貪瞋癡にまみれた私たちは、絶えず真理に基づく善行を避けようとする。誰にでも分かるからといって誰にでも実践できるものではない。仏教は見事にそれを指摘する。
著者プロフィール
アルボムッレ・スマナサーラ (アルボムッレ スマナサーラ) (著)
アルボムッレ・スマナサーラ(Alubomulle Sumanasara)
テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事している。朝日カルチャーセンター(東京)講師を務めるほか、NHK Eテレ「こころの時代」「スイッチインタビュー」などにも出演。著書に『スッタニパータ「犀の経典」を読む』『ヴィパッサナー瞑想 図解実践─自分を変える気づきの瞑想法【決定版】』『無常の見方』『苦の見方』『無我の見方』(以上、サンガ新社)、『怒らないこと』(だいわ文庫)、『ブッダが教える心の仕組み』(誠文堂新光社)、『ブッダの教え一日一話』(PHP文庫)、『70歳から楽になる』(角川新書)、『Freedom from Anger』(米国Wisdom Publications)など多数。