『サンガジャパンVol.12』特集「無常(2012年)


出版社 ‏ : ‎ サンガ
発売日 ‏ : ‎ 2012/12/23
単行本 ‏ : ‎ 266ページ
 

*クリックポストにてお届けします。
*注文後、4日以内に発送いたします。
*2冊以上のご購入や他の号と同時ご購入をご希望の方は info@samgha-shinsha.jp までお知らせください。個別にご対応いたします。

-

-



特集「無常」

 かつて、歌人の鴨長明はその著作『方丈記』の中で、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と無常の思想を表現した。長明の生きた平安末期から鎌倉時代は天災、疫病、飢饉などが頻発し、平氏や源氏などの武家勢力の台頭から政治的にも不安定な時代であった。長明自身、そのような環境の中で流転の世を経験したことが、『方丈記』の記述に深みを与えたことは間違いないであろう。

 天災や政情不安の中にあった平安末期から鎌倉時代は、ある意味、東日本大震災を経験し、政権交代がしばしば起こる現代日本に通じるところがあるようにも思われる。しかしながら、鎌倉時代はそれまでの奈良仏教の枠を超えた、浄土宗、浄土真宗、禅宗、日蓮宗といった鎌倉新仏教が生み出された時代でもあった。

「無常」を強く実感する時代だからこそ、仏教が強く求められるのではないか? ならば、今二十一世紀に求められる仏教の姿とは何であろうか? そのような問題意識から、今号では、「無常」を糸口として、現代日本における仏教の現在を追求してみた。

 本特集が、読者諸氏の無常の理解に資するところがあれば幸いである。

-

-

目次

 

アルボムッレ・スマナサーラ
「瞑想による「無常=苦=無我」の観察」(※シリーズ『アビダンマッタンサンガハ』を学ぶ(Ⅰ))
福岡伸一
インタビュー「動的平衡と無常」
しりあがり寿
インタビュー「死ぬのが怖くなければ怒りから退却できる」
ぐっどうぃる博士
インタビュー「仏教と恋愛術の出会い!? 共通するのは無常の真理」
蛭川立
時間反転対称性の破れと心物問題
田中貴子
インタビュー「日本的「無常」観の豊穣なるポジティヴ・シンキング」
石飛道子
無常の法は無常である
中川吉晴
無常と気づき
北川貴英
インタビュー「キープ・ムービングとしての無常」
デニヤーイェ・パーンニャーローカ・ブッダラッキタ
インタビュー「ブッダが教える「人づきあい」」
末木文美士
震災後と仏教の語り
石井光太対談シリーズ
「祈りの現場」無常を生きる苦しさ、そして祈りの力 第一回 気仙沼市・地福寺住職 片山秀光
田口ランディ対話シリーズ
仏教のコスモロジーを探して:ブラフマン世界の自然と仏教の解脱 第二回 村上光照
藤本晃
連載第七回 仏教としての浄土真宗:信心とはどういう心でしょうか?
佐藤哲朗
連載第十二回 パーリ三蔵読破への道:仏陀再誕はあり得ない――新興宗教から『聖☆お兄さん』までを貫く心性とその出離