『サンガジャパンVol.8』特集「生きる(2011年)


出版社 ‏ : ‎ サンガ
発売日 ‏ : ‎ 2011/12/22
単行本 ‏ : ‎ 276ページ
 

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特集「生きる」

 二〇一一年夏、一冊の本が大ベストセラーとなり、書店の棚を賑わした。その本の名は『困ってるひと』(ポプラ社)。著者の大野更紗氏は、若手の研究者としてビルマ(ミャンマー)の民主化運動や人権問題をテーマに取り組んでいたところ、自己免疫疾患系の難病を発病。自身の治療をきっかけとして、日本の医療や社会保障が抱える問題点を浮き彫りとした内容に、多くの読者が共感をした結果の反響であった。

 大野氏は病気をきっかけとして、それまで強くは意識してこなかった生きる苦しみと直面したわけであるが、仏教の教えの真髄であるとされる四聖諦では、「一切行苦」、すなわち私たちを取り巻くあらゆる現象は苦しみであると説く。

 しかし、私たちの多くは、日常生活に埋没する中で、病、経済的困難、老いなどの逆境に晒されるまでは、なかなかこの人生が苦しみであるという真実に気づくことがない。アルボムッレ・スマナサーラ長老による「生きるとは、つらいことだけど」では、巷間理解されているような生老病死に代表される四苦八苦の理解は間違いであり、苦(ドゥッカ)は毎瞬ごとに生じている普遍的な現象であると喝破されている。

 浄土教が飛躍的に発展した鎌倉時代、日本は大きな変革の時代を迎えていた。その変化の最中には、戦乱による目まぐるしい権力交代など、庶民の生活を不幸に陥れる事態も多くあった。

 だが、その中でこそ、苦(ドゥッカ)から目をそむけることなく、その克服に挑む鎌倉新仏教のムーブメントが立ち上がったのだろう。

 そして、今、情報化時代の中、テーラワーダ仏教やチベット仏教といった世界の仏教から大きな刺激を受けつつ、日本仏教は新たなる再生の時を迎えている。この特集で、仏教とその智慧が、時間を越え、地域性を越えて、私たちの生へのアティテュードを変革する、その多様性の一端を感じて頂けるなら幸いである。

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目次

 

アルボムッレ・スマナサーラ
生きるとは、つらいことだけど
プラユキ・ナラテボー
生きる力に目覚める仏教
浦崎雅代
気づきを「善き友」として
大野更紗
インタビュー「ミャンマーから見た日本」 
川浪剛
インタビュー「「生まれる」という苦しみ、それはあなたのせいじゃない」 
佐藤剛裕
チベット仏教と「生の哲学」
森山潤久
インタビュー「現在の闇、闇にさす光」
星飛雄馬
大粛清を乗り越えた現代の菩薩 マハ・ゴサナンダ
宮崎哲弥
連載対談「今、語るべき仏教:仏教にとって救済とは何か。」 第五回 林田康順
石飛道子
幸福に生きる! アランとブッダ
藤本晃
連載第三回 仏教としての浄土真宗
吉田明乎
女子の仏教ブームについて
佐藤哲朗
連載第八回 パーリ三蔵読破への道