『サンガジャパンVol.20』特集「これからの仏教(2015年)


出版社 ‏ : ‎ サンガ
発売日 ‏ : ‎ 2015/4/25
単行本 ‏ : ‎ 338ページ
 

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特集「これからの仏教」

 「仏教のリアルを探す総合誌」として、二〇一〇年三月にスタートした『サンガジャパン』は、試行錯誤を重ね、本号で二〇号を迎える。

 私たちはこの五年間、刻々と変化し続ける世界を見つめながら、「仏教」という分野における新たなコミュニケーションの場を提供したいという思いで『サンガジャパン』を作り続けてきた。また、本誌連載記事の書籍化や『別冊サンガジャパン』という番外企画も次々と誕生し、『サンガジャパン』の周辺もにぎやかな状況になりつつある。読者や関係者の皆様に深く感謝するとともに、現代における仏教の重要性を認識する議論の場として、今後も本誌が役立てられることを心から願っている。

 『サンガジャパン』では、「瞑想」「業」「無常」「戒律」「死」といった仏教の核心に迫るテーマから、「心理学」「神道」「キリスト教」などの他分野と仏教を比較するテーマなど、様々な企画に挑戦してきた。

 今回、初心に立ち返るとともに新たなスタートを切ろうという思いから、特集テーマは「これからの仏教」とした。

 社会構造の変化に伴い、仏教に求められるものの質も変化してきている。そのことを端的に表わしている現象として、「核家族化によって仏壇を置かない家庭が増えている」ということと、「マインドフルネスが医療やビジネスの現場で注目されている」という二つがある。「仏教」が死を迎える道具から今を生きるためのツールへと、用途が変わりつつある。求められている場所もお寺だけでなく、IT企業や病院へと広がりを見せている。ただし安易に流行に乗ることは、「仏教の本質とは何か」を見定める眼を曇らせる。

 また、二〇一一年の東日本大震災によって、日本人は「死」というものの意義について、あらためて考えさせられたことも事実だ。「生きること」と「死ぬこと」が分断されている現代人が、生死の意味をつなぐ架け橋として仏教を必要としているとも言えるだろう。

 今回の特集を編集していて、直感したことがある。それは現代社会における仏教には、新たな波が近づいてきているということだ。その波とどう向き合うのかはあなた次第だ。新たな時代へ向かう手引きとして、本誌を活用いただければ幸いである。

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目次

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アルボムッレ・スマナサーラ×香山リカ
瞑想って何だろう?
山下良道
信仰と化学がひとつになる時代へ
南直哉
インタビュー「仏教を求める条件」
釈徹宗
認知症高齢者グループホーム「むつみ庵」と日本人の死生観
松本紹圭
インタビュー「お寺の未来」の設計図
デイヴィッド・ロイ+大來尚順
日本仏教の発見
シュプナル・法純
ポーランドのカトリック教から日本の禅へ、そして仏教の可能性
マハーカルナー禅師
「涅槃に至る古の道」を歩む
アチャン・ニャーナラトー
イギリス アマラワティ僧院副僧院長 インタビュー
プラユキ・ナラテボー
よく生きること、よく死ぬこと
二〇一五年 プラムヴィレッジ僧侶団 来日によせて
・「無我を生きる」ティク・チャン・ファップ・アン
・「今こそ止まり見つめる実践を」ティク・チャン・ファップ・ユン
・「二〇一五年来日情報」
アルボムッレ・スマナサーラ
インド仏蹟と仏教美術の地を巡る旅 ブッダガヤー 金剛宝座 法話 生命の心臓部のこの場所で
藤本晃
連載第四回 日本仏教は仏教なのか?:インダスの継承者・諸仏の系譜(後)
蛭川 立
連載第五回 心物問題の形而下学に向けて:象徴的実在の領域:ポスト・コロニアル・オーストラリアの神話的世界