アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「お釈迦様はエコな考えを持っていた?」という質問にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

    お釈迦様はエコな考えもありましたか?

[A]

    自然と仲良く暮らそうというエコロジーは最近流行っている考え方ですが、お釈迦様は植物をたいへん大切にされていました。それを知っているわれわれ仏教徒からすれば「エコなんて、なにを今さら」という感じです。
    お釈迦様の時代は森ばかりでしたが、それでも出家は葉っぱの一枚も取ってはいけないと言われていました。それぐらい樹々を大事にするのです。枝を切ったり木を倒すなんてもってのほかなのです。
    出家には流れる水に用を足すことも禁止しています。食べ残しを捨てるときも、草が生えていないところを選ばなくてはいけないのです。(お釈迦様が政治家に政治論を話すときも、王は人間だけではなく、国の動物や植物も守る義務があると説かれています。)
    ただし、それは出家だけです。人間は植物を取らないでは生活できませんから、在家の方々には関係のない教えです。しかし、一般人にしても必要がなければ、植物を取ったり、枝を切ったり、木を倒したりしないほうがいいのです。遊びで「まあ、ここらへんはきれいになったらいいだろうから切ってしまおう」などというのは、やめたほうがいいのです。
    お釈迦様と植物との関係では、菩提樹がすぐに浮かぶことでしょう。お釈迦様は悟りを開いたとき、座っていた菩提樹に向かって「お世話になりました」とおっしゃいました。そして、その場所を見ながら一週間も立っておられたのです。ですから、仏教徒は菩提樹を礼拝する対象にしています。
    仏教は本来、植物に対して感謝の気持ちをもっています。自然を守る考えがあるのです。現代の仏教徒はちょっと違う気がしますが、本来はそうです。ですから、仏教ははじめからエコロジー思想だったのです。


■出典    『ブッダの質問箱』