アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「お金の管理」です。

[Q]

   お金の管理についてですが、普通に管理をする事は欲とは違うのでしょうか?    それは正しいことなのでしょうか?    経済状態が悪いので将来を心配している人が多いと思うのです。お金が無くなっていくので気持ち良く使えないという状況というのは、個人の生存欲にからめ取られているだけのことなのでしょうか?

[A]

■「日々、生きてみる」ということ

    財産の管理をするということは、生きるために必要なことで、生存欲とは分けて考えてください。
    それから、世界的に経済状態が悪い、国の経済状態が悪いから将来が不安だとか、余計な心配をするのはちょっと病的です。それは欲があり過ぎ。ですから、仏教的に言えば「日々、生きてみる」ということになります。
    では、将来が悪くなったと仮定しましょう。と言っても、今から苦しむ必要は無いでしょう。全体的に国の経済がダメになってしまったらみんな同じ状態ですから、その時不安はどうでもいいことになるのです。ということで、今日の安らぎを失ってはいけません。
    仏教でも財産(お金)をいくらかキープしておいてくださいと言っています。予想外のいろんなことが起こりますから、病気になったり事故に巻き込まれたり……その時のために、いくらかお金を持っておく、万が一何かあった時に使うためです。それから借金をしないためにも必要ですね。借金は仏教ではあまり認めません。借金をしたということは、お金の管理を失敗したということになりますから。
    自分が生きている社会で、一人ひとりの範囲は、どれぐらいの人と付き合っているのかで、それぞれ違います。その社会の中で楽に生きてみる。それで充分でしょう。10年先に不幸になるかもしれないと、今から悩んで苦労する必要はありません。「その時は、その時」とした方がいいと思います。
    正しく生きる人に、全然そんな問題は起こりません。余計な心配はしません。例えば、両親が子供たちのことをちゃんと考えて、ひとつの社会として生きていると、小さいなりに子供も家の経済状態を把握できます。ですから、モノが欲しいと言う場合でも、ちゃんと配慮して親に要求します。経済状態が悪くなればそれに合わせて協力したり、仕事を手伝ったりするのです。そうすると家族は幸せです。ということは、家庭という社会の経済状態は上下に変化しても、家族の幸福は変わらないのです。
    あまりにも将来のことを考えるのは欲ということになります。「日々、安穏で楽しく生きる」ということでいいのです。例えば、贅沢に食べるといっても、健康のことを考えて暴飲暴食はしませんね。そういうように「余計なことはしない」ということで充分です。

■生き方を間違えると破産します

    だいたい、破綻したというのは生き方が間違っていたのです。収入に適さない贅沢をしたとか、余計なことにお金を出してしまったとか、あるいはあまり信頼性のない人の連帯保証人になってあげたとか。借金することは良くないことなのに、さらに他人の借金の保証人になるのはね……。そういうところで失敗するのです。それは気をつけた方がいいです。どうしても連帯保証人にならなくてはいけないのなら、銀行の審査ぐらい徹底的に調べた方がいいでしょう。


■出典   『それならブッダにきいてみよう:ライフハック編』 

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