アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「悩みや不安を修行のエネルギーとしてよいか?」という疑問にスマナサーラ長老が答えます。


[Q]

    仏教の勉強をする時、どうも「悩みから逃れたい、早く楽にしてくれ」というような焦りがあるんです。でも、悩みや不安が無いと仏教を勉強しようというエネルギーは出て来ないようにも思います。
 
[A]

■楽しくやる方が成長は早い

    できれば、仏教の勉強は「知らないことを知りたい」という興味を持って、明るくやるのがいいのです。特に悩みや不安が無くても、「知らないことを知るとおもしろい」という知識的なアプローチでチャレンジすることはできます。どんなことでも、「やらなきゃいけない」という強迫観念で頑張るより、楽しくやる方が心は早く成長するのです。

《考えてみると昔から、勉強も仕事も、嫌だけどしょうがないからやってきたように思います。》

    人間には、いくら嫌でもやらないといけないことはあります。「嫌だから止めた」と言う人は誰の役にも立ちません。だからといって、「嫌だけれど仕方がない」と嫌々やるのは不幸な人の生き方です。ストレスもたまるし、暗くなるしね。だから「やるのであれば、楽しくやるぞ」と強引に楽しくやろうとするしか答えは無いと思います。それが能力向上の道です。成長には喜びが必要なのです。

■成功を夢見ないで、瞬間瞬間の行為を楽しむ

    嫌で、義務感でやるとうまくいかないし、楽しくもないし、能力も向上しない。だからよけいに嫌になる……という悪循環に陥ってしまいます。不満ばかりが増えてしまうのです。それで苦しくなって何かにすがろうとしても、すがるものなどありません。それよりも、基本的な問題を解決することです。自分の生き方を直すのです。大胆な成功を夢見るから人はダメになるのです。人は、瞬間瞬間、充実感という喜びを感じて生きていくべきです。嫌な仕事をやっている時も、仕事全体を考えず、その課程の瞬間瞬間の行為を楽しめばよいのです。「ここが楽しい、あそこが楽しい」という感じで生きていくことを心がけると、リラックスできるし、頭が自動モードで褒められることになって能力も向上します。日々自分が向上すると楽しいし、「良い方向に変わっている」と感じて、将来に対しても明るい気持ちになれます。そのように知識プログラムを改良するのは大事なことです。
    難しくしゃべりましたが、まとめていえば「楽しくやりなさいよ」というだけのことなんです。どうせやらないといけないんだから充実感を感じてやりなさいよ、と。


■出典     『それならブッダにきいてみよう:瞑想実践編2』

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