山下良道


山下良道師の師であり禅の修行道場である安泰寺の第六代住職の内山興正老師の哲学を紐解きながら、現代日本仏教の変遷をその変革の当事者としての視線から綴る同時代仏教エッセイ。

第5話    矛盾に投げ入れられる

    今回のテーマは、サンガ新社設立記念コラム「私たちの幸福とは」のなかでの私の記事と関連するので、まずはそちらをお読みください。

「矛盾から始まる新しい次元へのジャンプ」https://online.samgha-shinsha.jp/contents/cef3814110d7
    前回までで、これまで外部から干渉されずに、孤立した活動をしてきた仏教の各伝統が、現代になると、政治経済を動かす大きな流れは宗教の世界にまで及び、お互いに交流せざるを得ない状態になってきたことを見てきました。そこから当然ながら多くの「矛盾」が認識されてきます。

    では、何と何が矛盾するのか?
    その矛盾に私はどう苦しんだのか?
    その矛盾は解決されたのか?
    解決したとしたら、何かが発見されて、矛盾が矛盾では無くなったということか?
    その新たに発見されたものとは、一体何か?

    以上を順を追ってみてゆきますが、今回は、最初の「何と何が矛盾するのか?」から取り上げて行きます。ただ、いきなり矛盾と言われても分からないでしょうから、これまでの流れをもう一度整理しましょう。まずは、私個人とは関係ない、外部の情勢。