ブラザー・ファップ・ユン(Brother Chân Pháp Dung  釈真法容)

2024年3月12日から30日にかけて、世界各地のプラムヴィレッジの僧侶5人が来日し、広島、鎌倉、東京、愛知を巡るツアー「マインドフルネス  ジャパンツアー  2024    Being Peace 〜平和を生きる」が開催されました。
このツアーでは特に広島で多くのイベントが開催されました。来日した僧侶方の先生(タイ)であるティク・ナット・ハン師は、ベトナム戦争時に非暴力の立場から戦争終結を訴えた平和活動家でもあり、広島にサンガとして訪れて癒しをもたらしたいという願いを持っていました。生前には叶わなかったこの願いが、その思いを受け継いだ5人の弟子と多くの人々の協力によって実現することができたのです。
そのため、被曝建物でもあるイエズス会聖ヨハネ修道院で神父やシスター、黙想実践者らとマインドフルネスの実践をシェアする集い、平和活動に取り組む広島の若者たちとの対話会(Peace Culture Village)、広島国際会議場での講演会、原爆ドームを臨む広島平和記念公園でのチャンティングと歩く瞑想(世界各国にライブ配信)、そして宮島での「心と身体をいやす    気づきのプラクティス    マインドフルネスの1日」(瞑想会)など、平和を軸に多彩なイベントが実施されました。
3月16日(土)に広島国際会議場で行われた講演会では、アメリカ・ディアパーク僧院元僧院長でシニア・ダルマティーチャー(導師)のブラサー・ファップ・ユンが「平和を生きるマインドフルネス」と題して法話をされました。ブラザーは、暴力の吹き荒れた文化大革命の中国からベトナムに逃れた祖父と父親を持ち、少年時代にベトナム戦争の混乱のなか家族と共に命がけでアメリカに渡った経験があります。そのため、平和を語る言葉には深い説得力がありました。以下、その法話を採録します。

平和を生きるマインドフルネス


■平和とは養うもの

    私たちの先生であるティク・ナット・ハン師は、一生を通して世界に平和を広める活動をされ、一人ひとりが自分自身の平和に触れることを教えていました。
    先生は1966年に、ベトナム戦争の終結を求める平和運動のためアメリカに行きました。そして私は1979年に、ベトナム戦争後の内紛から逃れるため家族とともにアメリカに渡りました。そのとき、私は6歳か7歳でした。
    先日、広島平和記念資料館に行きましたが、そこには被爆した子どもたちの写真がたくさん展示されていて、とても心が痛みました。戦争や紛争など暴力的なことが起きると一番苦しむのは子ども、女性、そしてお年寄りです。広島でも戦争が終わって80年ほど経ちますが、今も当時の苦しみが語られていますね。
    そして今でも、世界のどこかで戦争が続いていて、家族が殺され、家が爆撃されています。延々と武器が製造されて戦争が続くので、「なぜ、平和運動が必要なのか?    そんなことをして、何の意味があるのか?」と疑問を持つ若い人たちもます。
    これは先生から学んだことですが、平和とは外に何か求めるものではありません。どこかに平和な状態があって、それを得るのではありません。平和や幸せは、自分の中から生み出すものです。それは、木を育てるのと同じようなものです。木を植えたら、適切な世話をしなければいけませんね。そのように、平和とはケアをして養うものだと私は学びました。