「日日是好日」という言葉をテーマにした「バッデーカラッタ・ガーター(Bhaddekaratta gāthā)」について詳しく解説した経典が、中部経典に4編収録されています。「日日是好日」偈の真髄を理解できるよう、スマナサーラ長老にこれらの解説を多面的に読み解いていただきます。
第5回 「日日是好日」偈お釈迦様の解説 ③今に執着するなかれ‐1
■今の自分に執着する
過去、未来の次は「今、現在、生きる自分」についてです。
日日是好日偈の二つめに、こうあります。
Paccuppannañca yo dhammaṃ, tattha tattha vipassati,
Asaṃhīraṃ asaṃkuppaṃ, taṃ vidvā manubrūhaye.
現に存在している現象を その場その場で観察し
揺らぐことなく動じることなく 智者はそを修するがよい
これは、「今、現在の現象において、その場その場で観察する。それから、動じることはなく智者はこのように生活するのだ」ということです。
その場その場で現在の現象を観察する、とはどういうことでしょう? Asaṃhīraṃは「揺らぐことなく」と翻訳されていますが、お釈迦様はここでは「揺らぐ」を「執着する」という意味で使っているのです。Asaṃkuppaṃは和訳と同じで「動じることなく」です。結局のところ、今の自分に執着することが問題になってくるのです。
お釈迦様は弟子たちにこのように問いかけます。