アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

 皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「子供に見せるアニメや絵本」についてです。


[Q]

 子供へ見せるアニメや絵本について、日本の小さい子供に人気の国民的ヒーローは、最後はパンチやキックなど武力行使で解決することが多いです。仏教を学び始めて、小さい子供にこのようなものを積極的に見せるのはどうなのだろう? と思うようになりました。このようなヒーローものは見せない方が良いのでしょうか。また子供にはどのようなものを見せるべきでしょうか。



[A]

■管理できないことに気をやまないことです

 これはね、あなたには管理できないでしょう。気にしないで「あなたが好きなものを見なさい」と、放っておいた方がいいんです。あまり管理しない方が良いと思いますね。そもそも管理できないのですよ。
 子供に「こんな漫画は見るなよ、あんなアニメは見るなよ」と言ったって、必ず友達に借りたりして見ちゃいますから意味が無いのです。「どんな漫画を見てもバカにはなるなよ」と言った方がいいのです。「バカは嫌だぁー」とかね。
 私はね、子供が好きなキャラクターにわざと悪口を言ったりケチをつけてみるんですね。そうすると子供は怒るというか、defending 弁解するんだけど、さらに真面目に、反論ができなくなるぐらい真剣にバカにしてやるのです。それで子供が「あぁ、自分が好きなのは一方的にヒーローではないのだ……」と、なんとなく理解するんです。そういう感じで、禁止命令は出さないで、子供が自然の環境で成長するようにするんですね。だからアンパンマンが好きな子供にとって、私はバイキンマンの味方なのです。「悪役なのにカッコいいじゃない」とか。そうやって、どんなものもいろんな角度から見る能力こそが子供が得るべきものであって、禁止するだけでは全然上手くいかないのですね。
 いたって単純、あなたは全部放っておいてください。そして子供が好きな漫画やアニメから何か欠点を見つけて悪口を言ってみてください。ケチをつける場合でも、ちゃんと子供の世界に入って「こんなくだらないものが好きとは、本当にろくでもないヤツだ」などと、大人の目線になってはいけません。そうすると子供は無視しますから。ゴジラが好きな子供だったら「ゴジラって何を食べるのか」と聞いて「放射性物質だ」と。だったら「こいつのせいで世界中が放射能汚染されちゃうじゃないか! とんでもない悪い奴だ」とかね。それで「えぇっ!?」と、思いもよらなかったことを指摘されてびっくりするんです。ゴジラは好きだけど、私の指摘も「なるほど。ダメなところもあるな、そういう見方もあるのか」と。
 そういうことで、あまりコントロールしない方が良いとは思いますね。

 
■出典 『それならブッダにきいてみよう:教育編2』 

教育編2.jpg 147.48 KB