アルボムッレ・スマナサーラ(テーラワーダ仏教(上座仏教)長老)


『ダンマパダ法話全集    第八巻』の刊行を記念し、2023年6月に刊行記念セミナーがオンラインにて開催されました。お釈迦様の智慧を理解し、実践するために、私たちはダンマパダとどのように向き合えばよいのでしょうか。全4回でお届けするスマナサーラ長老のご法話の第2回です。


第2回    「種々なるものの章」を読む


■4行の偈に解脱に達する真理が入っている

    仏教の特徴はsvākkhāto(スワーッカートー)なのです。Svākkhātaとは、「正しく語られている」という意味です。正しく語られているというのは、完全に語られているという意味でもあります。
    ブッダの言葉は、「これには続きがありますので、その教えもぜひ聞いてください」ということが一切ありません。ブッダが誰かに何かを語った場合、その言葉の中に真理がとにかく全部入っているのです。
    これは大変なことですよ。
    解脱に達する真理というのは、超越した真理であるとお釈迦様は仰っています。それを解脱に達するところまで、たった4行の偈でお釈迦様は語っているのです。
    それが素晴らしいと私は思います。素晴らしいというか、人間には不可能なことです。