小野常寛(普賢寺住職)
聖地ブッダガヤで開催された国際サンガフォーラム2023に参加され、世界で活躍する僧侶の一人として壇上でスピーチを行い、ダライ・ラマ法王にも謁見、各国僧侶ともリアルに交流を図り、世界仏教の潮流を肌で感じられた小野常寛師(天台宗・普賢寺住職)によるレポートをお届けします。全4回連載の第3回です。
第3回 世界の僧侶との真の交流を経験して
■ダライ・ラマ法王猊下謁見
フォーラム2日目、日本仏教団はダライ・ラマ法王が泊まられているチベット僧院に伺い、謁見する機会を頂戴した。待合室でしばし待機すると、順にお呼びいただき、直々に謁見することができた。
ダライ・ラマ法王に謁見する小野常寛師
謁見させていただいただけではなく、日本代表団だけに対するご法話もいただいた。
「現代人にとって宗教は、あまりいいものとして捉えられていない傾向がある。現代人には信仰という観点ではなく、科学や哲学的な観点から仏教というものの良さを説いていく必要がある」
と仰っていた。正に時宜に合致するお話であり、日本仏教団への激励の言葉として有り難く拝受した。
ダライ・ラマ法王は日本代表団全員の手を取ってくださった。まさに至福の時間であり、メンバーの中には、涙するほど喜ばれた方もいらっしゃった。
ダライ・ラマ法王に謁見した日本代表団
壮絶な人生を歩まれてきたとは思えない程に慈悲に満ちたダライ・ラマ法王の微笑とお言葉は、いつも私たちを導き照らしてくださる。
本フォーラムには多くのチベット僧侶が参加されていて、チベット仏教の大いなる躍動が感じられた。チベット僧侶は世界各地で大いに活躍しているが、母なる大地であるチベットに帰ることも許されない。分断されてしまったチベット人の心の穴は想像を絶するものがある。
彼らの心の支柱は仏教であり、仏教こそが彼らの逞しさであると感じた。その中心的存在がダライ・ラマ法王である。
88歳となられるダライ・ラマ法王のますますの延年転寿を祈り申し上げ、一同はチベット僧院を後にした。