「日日是好日」という言葉をテーマにした「バッデーカラッタ・ガーター(Bhaddekaratta gāthā)」について詳しく解説した経典が、中部経典に4編収録されています。「日日是好日」偈の真髄を理解できるよう、スマナサーラ長老にこれらの解説を多面的に読み解いていただきます。
第7回 「日日是好日」偈 マハーカッチャーナ尊者の解説 ①エピソード
■4種類ある「日日是好日」偈の解説
過去に引っぱられない、将来に期待しない、今、現在、観察して生きているという日日是好日偈。お釈迦様の解説は、「この偈は自我にとらわれないことだ」という解説でした。自我にとらわれない、つまり「私がいる」という錯覚についてです。ですから、「私は誰ですか」という、なんだか哲学的な解説になりました。
ここからは阿羅漢の方々による解説です。「日日是好日」偈の解説は、中部経典に4つあると言いました。最初の経典はお釈迦様の解説、2番目の経典はアーナンダ尊者が比丘たちに説法をする形での解説です。4番目の経典は説法を受けることになった比丘に関するエピソード部分を除けば内容は最初の経典と同じです。いずれも「自我の錯覚にとらわれるなよ」という解説になっています。
3番目の経典であるマハーカッチャーナ尊者の解説はガラッと変わり、また別のアプローチで教えています。順に見ていきましょう。