戦争を知っているのは、かろうじて僕の親の世代まで。それ以降の世代の大半は「もしかしたら、今日死んでしまうかもしれない」といったような危機感とは、ほぼ無縁で生きてきたのだと思います。「死」が遠ざかっていて、だからこそ生きることが難しい。生と死はセットだから、死が遠ざかると生も遠ざかるのです。


想田和弘(映画監督)
(サンガジャパンVol. 6 「ニューヨークから観た風景」)
※肩書は掲載時