アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「お金の使い方」です。


[Q]

    お金を使う時に気をつけた方がいいことを教えてください。
 
[A]

■現代人はお金の奴隷

    これは良い質問です。お金を「どう使うのか」はとても大事なことです。お釈迦様は自営業の信者に対して、「収入のうち半分を投資に回しなさい。4分の1で生活しなさい、4分の1は貯蓄しなさい」と説かれました。
    しかし、このお釈迦様の説かれた配分を実行するのは現代では難しいと思います。お金は昔からあったものですが、現代はお金という道具に社会の玉座を「簒奪」されています。その結果、お金がすべてということになり、人間がお金の奴隷のようになってしまいました。現代人は1ヶ月生活するのがやっと……という給料で生きています。ですから、金を使うにはとことん気をつけないといけません。
    日本人はすごく気をつけて節約生活をしていますが、国民を管理している政府などの組織はいい加減なので日本は赤字大国です。他の国々の政府の状況も同じです。私たちは何人であっても、いい加減で無駄遣いする人々に管理されているという厳しい環境で、お金とつき合い、どう生きるのかということを考えなければいけないのです。

■お金を使うときのチェックポイント

    仏教ではケチは大反対です。しかし、節約には大賛成です。ケチとはお金を使わなくてはいけないのにごまかすことです。節約とは無駄づかいをしないということです。病気になったらケチは認められません。価値があるのは命であって金ではないのですから。オシャレするのは構いませんが、モノもろくに入らないブランドバッグに何十万円も使うのはおかしい、そういう価値観です。そうやって正しくお金を使うようにすれば、国民が一斉に幸福になります。
    金は、まず自分や家族の命を守るために使うものです。その場合は余計な欲が出て来ません。楽しみのためにお金を使う場合も、溺れるためではなく、その楽しみの必要性を考えて使うことです。お金を使う場合は、いつでも必要か否かという問いを入れてチェックしてみてください。それほど必要で無ければ、余裕がある時だけ使うことにしましょう。
    支払ったお金にふさわしいサービス・製品を得られるかどうかもチェックしましょう。払うお金に見合ったサービスが得られるかと考えるのも節約思考です。
    それから、できる限り借金はしない事です。日本社会はローンの広告がありすぎですし、ローンで買うのはお金の正しくない使い方です。命に関わるなら仕方ないですが、それ以外ではやめた方が良いです。
    お金に関しては、そうやって理性を使って正しく管理する事です。
    また、いつでも少し貯金しておくこと。これは欲ではなく、すべて無常だからです。明日何が起こるかわかりません。親族であっても頼れるとは限りません。ですから、いくらかは貯金することは不可欠です。

■遺産相続よりも社会貢献で徳を積みましょう

    世の中では、遺産相続をめぐってさまざまなトラブルが起きています。しかし、その家に代々伝わる財産は別として、自分が築いた財産を子供に相続させる必要はありません。自分が築いた財産はボランティアや社会福祉などといった、自分の徳を積むために使うべきです。そうすると老後も楽しくなります。困っている人々を助けて一文無しで死ぬと気分がいい。どうせ死んだら1円も持っていけないのですから、一文無しで死ねばいいのです。
    節約というのは苦労することではありません。節約とは、ただ金を余計に使わないということです。金をかけないで良いものを食べて楽しく暮らすことです。苦労してジャンクフードばかり食べているのはケチです。ケチは悪行為ですから不幸になるのです。
    お金に執着することは良くありません。財産は人生の期限内で正しくて心汚さず使って、人に借りを残さずに死ぬ事です。借金してまで借りを残すのはいけません。私たちは借金をして「実在しない将来」を貪ってはいけないのです。


■出典     『それならブッダにきいてみよう:ライフハック編』

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