アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「"瞬間、瞬間の気づき"の "瞬間"がわからない」という質問にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

    「瞬間、瞬間の気づき」というときの「瞬間」がよくわかりません。

[A]

    瞬間の長さは人の認識能力によって変わるものです。最初は自分に理解できる範囲の、短い時間間隔を瞬間としてとってみます。たとえば瞑想を始めた人が、ひとつの瞬間で「膨らみ」、次の瞬間で「縮み」と、お腹の動きを観察します。集中力が徐々に上がると、ひとつの膨らみの中にも、無数の膨らみがあることを発見します。
    仏教でよくいう「瞬間で現象が変化する」という場合の瞬間とは、光の速度くらい速いのです。恐ろしい速さです。集中力がないわれわれにはとらえられない速さです。集中力を極度に上げたところで、仏教で説かれている瞬間をとらえられると思います。
    瞬間の間隔は集中力によって変わることをさらに説明します。ある人にとっては、一分間が瞬間かもしれません。ある人には三十秒が瞬間としてとらえられるかもしれません。またある人には、一秒ぐらいの時間間隔が瞬間なのでしょう。集中力が上がると、〇・一秒が瞬間だと見えるかもしれません。このように集中力によって瞬間の長さが変わります。仏教で説かれているように、一回まぶたを閉じるときでも、無数の瞬間の変化が起きているのだということを発見するには、発見できるところまで集中力を上げるのです。



■出典    『ブッダの質問箱』