アルボムッレ・スマナサーラ(初期仏教長老)
様々なかたちの最期があるなかで、安穏に満ちた看取りの場をつくっていくために大切なことはなんでしょうか。初期仏教長老のアルボムッレ・スマナサーラ長老に、まず「死とは何か」ということをあらためて教えていただきながら、看取る人がどのように逝く人に接していけばよいのか、どのような看取りの環境を作っていけばよいのかについて、お釈迦様の教えをもとに教えていただきます。
第2回 死とはどういう状態なのか?
■生があれば死がある
禅宗では「生と死は同じものである」と言いますね。生があれば死がある。死があれば生がある。何かが現れたということは、前にあった状態が消えたということです。たとえば暗闇の部屋に入ってスイッチを入れると、暗闇という現象が死んじゃって、光子で溢れた部屋になります。
そこで光子がずっと止まっているかというとそうではありません。光子も速い速度でずーっと変化しているのです。
常に「生と死」「生と死」「生と死」という流れがあります。死があったら次の瞬間に必ず生がある。
だから仏教をちょっと勉強して理解するならば、肉体という派手なシステムが停止することは、それほど気にすることではないとわかると思います。
皆さんは「仏教では輪廻転生の話をするけれども、そんなものは非科学的です。認めません!」とか偉そうなことを言うでしょ。でも「死があったら次の瞬間に必ず生がある」という理論で見れば、輪廻転生は自然な法則なのです。