川本佳苗(仏教研究者、日本学術振興会特別研究員PD)
2018年から旧サンガのWEBサイトで連載を開始して好評を博した川本佳苗さんの仏教エッセイ「ぶぶ漬けどうどすか?」をサンガ新社のプラットフォームの「WEBサンガジャパン」で全編再録します。気鋭の仏教学者である川本さんですが、ほぼ別人格(当社比)のスナンダ節をお楽しみください。なんでも今年6月に『ぶぶ漬けどうどす』なる映画が公開されるようですが、本家はこちら、あちらさまは二番煎じということで、よろしくお願いいたします。今なお色褪せぬフレッシュなダンマトーク、テーラワーダ仏教色濃厚な異色連載をご堪能ください。
※リンクなどは当時のものです。一部リンク切れになっていますが、ご了承ください。2025年2月現在、編集部で確認して切れているものは(編集部注:リンク切れです。m(__)m)を付しています。
※2025年2月現在危険なサイトにリンクされていたものはアドレスを削除しています。
※この第6回ではミャンマーの瞑想センターを紹介していますが、2019年公開当時の情報です。現在のミャンマーの情勢については外務省のサイトをご参照ください。
第6回 「スナンダへの質問コーナー:お薦めの瞑想センターと瞑想センターに持っていくとよいもの」
こんにちは! 法名スナンダこと川本佳苗です。こんな年の瀬にもう一本記事を書く私ってすごくないですか? スナンダはほめて伸びる子なので、誰かほめてほめてぇーーー。
今回は、東京都のAさんからの質問に対する記事です! 9月からリクエストいただいていたのに、お返事が遅くなりました……。でも何とか年内に書きましたよ!
質問:ミャンマーの瞑想院に行くのに持っていくとよいものについて教えてください。
そうですよね、「ぶぶ漬け」を読まれているまじめな仏教徒の皆さまは、当然ながら瞑想も頑張っていらっしゃると思います。これまで日本国内の瞑想合宿にも参加なさった人も多いでしょう。
そうすると、だんだん「本場のテーラワーダ仏教国の瞑想センターで、ガッツリ修行してみたい」という欲求がムクムク湧いてきますよね。うんうん、分かります。
私が瞑想修行したことのある国は、ミャンマー、タイ、ラオスです。で、ラオスはラオス語ができないとマジ無理なので、ミャンマーかタイの瞑想センターを想定して、お話ししますね。
言葉の通じないラオスで10日間合宿に入った私。よく頑張ったよ……。
ヤンゴンのチャンミ瞑想センター。瞑想者の服装は上が白で下が茶色のロンジーです。
茶色のショールを掛けると「八戒を守っています」という意味になります。
では、担当編集のK島さんを「こいつぁ永久保存版だあ!」とうならせた、スナンダの「瞑想センターに持っていくリスト」、いってみましょう──!
■日本からもっていくべきもの
優先度の高い順番に並べました。
米ドル
ミャンマーでは、日本円よりも100米ドル紙幣の方が両替率が高いです。外国人対応可のホテルやレストランではドル支払できますので、1ドル~10ドルの小額紙幣も少し用意していきましょう。タイでは日本円の紙幣でも両替率は悪くありません。
日本からのお土産
ご住職や寺院内の僧・尼僧、在家スタッフなどにお布施しましょう。「日本製」だと喜ばれます。人気があるのは日傘、鎌倉の大仏グッズ(ミャンマー人は大好き)、フワフワのついた耳かき(ほんとにリクエストされた)などでしょうか? 逆に食べ物は、味覚が違うのかあまり喜んでもらえません。在家の女性になら資生堂の美容クリームやヘアカラーなど日本のコスメが人気です。
薬
私は長年の東南アジア生活によって強力な胃腸にトランスフォームしてしまったのですけど、きっと日本人の皆さまは下痢止めや胃腸薬が必要かも。その他、お気に入りの常備薬を。
瞑想修行者用の服
タイでもミャンマーでも白いシャツを着ます。Tシャツ素材でもOK。ボトムスは、ミャンマーなら女性はこげ茶色のロンジーで、男性は暗い色のロンジーです。でも外国人は、ゆったりしたパンツでも大丈夫でしょう。タイは白のロングスカートかパンツです。3セットずつ持っていって、着回しましょう。
魔法ビンのボトル
食堂でお湯をもらった後、保存しておきましょう。飲む以外にも、寺院はお湯シャワーじゃないことが多いので、私は洗面器にお湯を足して髪や体を洗うときに使っていました。水だけだと寒いときがあるんですよ。
プラスティックのカップ
自分のクティ(お部屋)で飲んだりするとき用に。
プラスティックの密閉容器(タッパー)
朝食でもらったお菓子を後で食べたいときに、アリ軍団からお菓子を死守しましょう!
ジップロックの袋
大きいサイズは下着や靴下と洗剤を入れてシャカシャカ振って手洗い代わりに使えます。小さいサイズは食品の保存に!
スーパーでもらうようなビニール袋
なんか分からないけど、とにかくちょこちょこ使います。
垢スリ用ボディタオル
100均ので十分です。東南アジアはとにかく暑いので、びっくりするほど垢がたまります(本当)。汗でネットリした体をときどき垢スリすると、めっちゃ気持ちいいです。
自分が普段使っている瞑想用坐布
あちらの寺院のマットは薄いので、お尻が痛くなります。かゆいときもあります(笑)。荷物がかさばるけど、私は自分のものを持って行きます。
日焼け止め
八戒を守っている間は化粧はダメなのですが、日焼けは肌に有害なので薬品であるとみなして私は塗っています……。まあこんだけ東南アジア歴長いと、美白と無縁の人生ですけどね……。
サプリ
寺院の食事では、栄養が偏ることもあります。特に野菜が少なかったり、カルシウムやミネラルが不足しやすいかな。
メラミンスポンジ
クティのキッチンやバスルームを掃除するときに便利です。普通のスポンジより汚れが取れます。
■現地でも買えるけど買い物に行く時間がない場合や、お気に入りの日本製品がある場合
蚊取線香
日本製品の低刺激なのが自分にも優しくてお薦めです。ミャンマーの住居や瞑想センターのクティ(小屋)は隙間だらけで通気性がよいので、あくまで蚊を遠ざける目的で使います。殺生しませんので安心してください。マラリアやデングを運んでくる蚊は日本人にとって危険な存在ですので、極力刺されないように気をつけてください。実際にデングにかかった知人は、再度デングになったら死ぬかもしれないので、もうミャンマー渡航ができなくなりました。
ライターまたはチャッカマン
蚊取線香とロウソクを使用するときに。
虫よけスプレー
ミャンマーだとクリーム、タイだと乳液タイプが売っています。
サンダル
安いビーチサンダルだと雨期はすべりやすいので注意です。雨期に行かれる人は靴裏がゴワゴワしたものを。
電池式ライト
特にミャンマーはよく停電しますので、懐中電灯は必須です!現地でも買えますけど、壊れやすいかも。
ロウソク
同じくミャンマーの停電時に。留学中、私は幾度となくロマンティックなキャンドルナイトを過ごしました(注:一人です)。
洗たく洗剤
毎日手洗いしますので。寺院を出る前にシーツ類や蚊帳なども自分で洗って返却します。
石鹸(手に優しいやつ)
現地の石鹸は殺菌性が高いのか手が荒れやすいです。
ゴム手袋
手が荒れるので、お洗濯のときに使います。
小さいふきんや雑きん
クティ(部屋)の掃除に。
キッチン用のボウル
洗面器だと荷物がかさばるので、私はキッチン用のボウルで小物の洗たくや洗顔に使っています。
お気に入りの飲み物
私はコーヒーが大好きなので、インスタント製品とドリップ式の両方を持参します。コーヒーフレッシュの代わりに粉ミルクを使います(カルシウム補充も兼ねて)。修行中は抹茶オーレやココアなどの甘い飲み物がほしくなるんですよね。あ、もちろん修行中は八戒を守るので、午前中しか飲めません。
折りたたみ傘
雨期(7月~10月中旬)に行かれる方は必須ですが、日傘としても大活躍。
帽子
日差しがほんとに強いので。
こういうツバのある帽子と折りたたみ傘(脇に抱えています)があるとよいです。
ポケットタイプのウェットティッシュ
こんなん要るの?って思うでしょ。寺院では不要ですけど、瞑想寺院を出て街中を歩くと驚くほど手が汚れていますので、外食先であると便利ですよ。
■女性編
白色のショール
女性は胸元を隠すときに斜め掛けします。羽織れば温度調整にも役立ちます。
生理用品
現地でも買えますが、普段使っている製品がよければ。
持ち物はこんなところでしょうか。
あと、ヤンゴンとバンコクの市内の主要なスーパー名をお知らせします。
■現地のお買い物スポット
【ヤンゴン】
オーシャン(Ocean Supercenter)
空港から一番近くで、車で15分程度の9マイル(コーマイッと発音しましょう)にあります。市内にも数店舗あり。
シティ・マート(City Mart)
空港から20分程度の8マイル(シッマイッと発音)にある他、市内に数店舗あり。
ガモンプウィン(Ga Mone Pwint)
こちらもダウンタウンよりは、はるかに空港に近いです。オシャレなショッピングモールって印象ですけど、一階に日用品や食品の売り場があります。カバエ・パゴダの、というよりチャンミ瞑想センターのすぐ向かいにあります。私がチャンミで修行してたら、誘惑に負けて遊びに出かけてしまいそう!
【バンコク】
テスコ・ロータス(Tesco Lotus)
バンコクの至るところにあります。洋服や電化製品も手に入ります。
セブン・イレブン(Seven Eleven)
こちらも至るところにあります。日本のフランチャイズの法律と違うのか、隣同士とか向かい合わせにあったりします(笑)。
フォーチュン・タウン(Fortune Town IT Mal)
電気製品を買うときに。パンティップ・プラザも有名ですけど、私はフォーチュンの方が駅近でキレイでエアコンが効いているから好きです。
■瞑想センター
次に、かつて私が実際に参加したり訪問したりしたことや知人が修行したことがあって、英語が通じるインターナショナル仕様の瞑想センターを以下にリストアップします。
【ミャンマー】
マハーシ瞑想センター(Mahasi Sasana Yeiktha Meditation Centre)
ヤンゴン
http://www.buddhanet.net/m_centre.htm(編集部注:リンク切れです。m(__)m)
いわずと知れたマハーシ・ヴィパッサナーの瞑想センター。外国人が多くて国際的な雰囲気。
チャンミ瞑想センター(Chanmyay Yeiktha Meditation Centre)
ヤンゴン
http://www.buddhanet.net/c_centre.htm(編集部注:リンク切れです。m(__)m)
英語ができなくても日本語通訳ボランティアを用意してくれると聞きました。全ての動作をサティを入れて観察するので、食事中もとっても静かでした。
チャンミ瞑想センター。歩く時も気づきを絶やさない。
パンディタラマ瞑想センター(Panditarama Shwe Taung Gon Meditation Center)
ヤンゴン
http://www.panditarama.net/(編集部注:リンク切れです。m(__)m)
瞑想合宿の期間は限定されているので、間に合うように申し込みましょう。ミャンマー語ペラペラの厳格なアメリカ人サヤレーさんがいて、後輩が期間に遅れて参加しに行ったらガンとして拒否されたので、私がミャンマー語で必死でお願いしたらマシンガン・ミャンマー語で返され、最終的に「あんたは骨があるわね」って感じで後輩を受け入れてくださいました。ええ、後輩からは感謝されましたよ!
パオ瞑想センター本山(Pa-Auk Forest Monastery)
モーラミャイン
パオ瞑想寺院の本山!1000人近くの修行者をかかえる大きな森のような寺院。外国人多し。
パオ瞑想センター(Pa-Auk Tawya Meditation Centre)
ピンウールウィン
https://apply.paauksociety.org/index.php
パオ・サヤドーが現在お住まいなのはこちら。1000人近い修行者の半数は外国人です。高地にあるので、ヤンゴンやモーラミャインよりも涼しくて乾燥した気候なので過ごしやすいかも。
一人一人、このようなクティをもらえます。
女性用の瞑想ホール。2階建てです。
パオ瞑想センター(Pa-Auk Tawya, Hmawbi)
モービー
毎年来日してくださるクムダ・サヤドーの寺院です。個別の連絡先がないので、以下のミャンマー人のどなたかに連絡するとよいかと思います。
①イン・イン・ミンさん(Ms. Yin Yin Myint)
②イッ・セン・フー夫妻(Mr & Mrs Yip Seng Foo)
③アウン・ピョーさん(Mr. Aung Pyone)
【タイ】
ワット・プラヨン(Wat Prayong)
バンコク郊外
(編集部注:リンク切れです。m(__)m)
田園風景が明媚なお寺でした。オーストリア人のメーチー(尼僧)ブリジットさんが英語・タイ語・ドイツ語で対応してくださいます。一人ずつにクティ(小屋)を提供してくださいます。ご飯が美味しすぎるので、食欲を抑制できなくて困りました(笑)。
ワット・マハータート(Wat Mahathat / Mahadhatu)
バンコク
https://www.facebook.com/Insight-Meditation-Centre-Wat-Mahathat-Section-5-366812090170259/
このフェイスブックの瞑想センターは「セクション・ファイブ」と呼ばれています。宿泊施設はなかった印象があります。問い合わせてみてくださいね。
ワット・マハータート寺院内には、この瞑想センターの通りを過ぎた突き当りにも、別の新しい瞑想センターがあります。ここの英語を話す尼僧さんが素晴らしいお人で、私は大好きでした。ただ、20人ぐらいの二段ベッドで集団生活するので外国人には厳しいかも……。食事は完全ベジタリアンで素晴らしかったです。私の大学院(マハチュラ)の修士課程は、30日間の瞑想修行が必須単位だったので、私はここにせっせと通っていました!
※掲載の各アドレスは2019年12月27日現在のものです。(編集部注:2025年2月現在危険なサイトにリンクされていたものはアドレスを削除しています。また再録にあたり個人のアドレスは削除しています)
はい、こんなところでしょうか。
日本語が通じる場所かどうかをまずは確認してみてくださいね。日本語が通じないなら、英語を話せた方がいいですし、もしくは英語を話す人と一緒に行かれることをお薦めします。
また、トータルで見て食事や生活環境は、日本国内で企画される瞑想合宿の方がはるかに快適です。でも、現地の人々がどのように仏法僧を大切にしているかを実際に目で見て肌で感じる経験は、かけがえのないものになると思います。
この記事を読んでタイやミャンマーに瞑想しに行こうと決心なさった皆さまが、現地で病気することなしに修行が進まれますことをお祈りいたします。
他にも、これまでの連載についての質問や、私に質問したいこと、ミャンマー仏教で知りたいこと、連載で取り上げてほしいこと、感想などがございましたら、メールアドレス[info@samgha.co.jp]宛に件名「ぶぶ漬け」と書いて送ってくださいね!(編集部注:上記メールアドレスは現在使われていません。2025年4月開始の新連載のための質問をオンラインサンガで募集中です。記事の末尾をご覧ください!)
慈悲をこめて、
スナンダこと川本佳苗
第5回 「みんなの質問に答えます!仏教と自殺に関する研究書」
第7回 「2020年のご挨拶と仏教徒でない人の瞑想修行に関する質問」
【編集部より】
2025年4月から新連載「(帰ってきた)ぶぶ漬けどうどすか?」(仮題)が始まります!
オンラインサンガ会員の皆さんから川本佳苗先生への質問を募集します。適宜、連載の中で取り上げさせていただきます。
質問は下記のメッセージ欄にお書込みください。
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皆様の質問をお待ちしております!