【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】

 皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。

 今日のテーマは「仕事中や会話中の実況中継について」です。


[Q]

 修行は続けるものだと思い、日常生活でも実践するように試しています。身体の動きを感じるということで、自分が歩いているとか単純なところは実況中継するように頑張っています。しかし、仕事をしている時になかなか実況中継できません。また、人と話をしている時に、どのように実況中継をしたらいいのでしょうか? 人の話を聞いて自分がどのように感じたのかを客観的に観て実況中継したらいいのでしょうか?


[A]

まず気づきの能力を上げる

 仕事中の修行などは本当に難しいのです。まず難しい宿題をやる前に、簡単な宿題をいっぱいやった方がじわじわと難しい宿題ができるようになります。だから、歩く瞑想をしたり、日常生活の中でも簡単なところから実況中継をやったりして、どんどん実況中継・気づきの能力を上げていくのです。仕事中でも修行はできます。その場合は実況中継しないで自己観察をするという上級レベルになります。実況中継しなくても、しっかりと自己観察を続けていられる。そうできるようになるためには、まず実況中継できるところで頑張って、気づきの能力を上げないといけません。どれぐらいの時間訓練すればいいのかということは、これは個人差があるので一概には言えません。

相手の話を傾聴する

 人と話をしている時の実践は一番難しいことです。人としゃべる場合は、自分は何も考えないでください。自分の頭で内容を処理しないでください。頭で反応しない。ただその人の話だけを聞いてあげる。どういう内容か、何を言いたいのかということを聞く。私もそうしています。自分の感情を割り込ませません。相手が言うことは相手の問題、ということで客観的に観るのです。そのように分析すると、どんな答えをしたらいいのか見えてきます。

ひとつ決まり文句を作ってみる

 では、仕事の時は、どのように修行したらいいでしょうか? 仕事の時に修行・瞑想する場合は、ひとつ決まり文句を作ってみてください。「いつでも落ち着いています」「何があっても落ち着いています」というフレーズを念じて、実践してみてください。より適切なフレーズは「落ち着きを守ります」です。仕事中はふつうの実況中継はできないので、他の言葉は要りません。そのように試してみてください。



出典 『それならブッダにきいてみよう: 瞑想実践編1』